コラム

2023.08.14

「簡体字」と「繁体字」の違いとは?地域・言語・表記の違いを分かりやすく解説!


外国語の翻訳で、英語に次いでニーズが大きいのは中国語です。インバウンド市場が復活してきている日本において、台湾や香港からの訪日観光客は戻りつつあり、今後中国からも増加が見込まれます。私たちの日常生活の中でも中国語を目にする機会が多くなりました。アウトバウンド事業で中国に進出する日本の企業も多く、当社では中国語の翻訳依頼が年々増えています。

日本企業にとって中国は巨大なビジネスマーケットを占めており、グローバル化が進む取引では「中国語翻訳のローカライズ」は極めて重要です。そこで今回は、中国語の種類や特徴、さらには翻訳を依頼する時に「必ず押さえておきたいポイント」をご紹介します。

「簡体字」と「繁体字」には特徴がある

中国語には「簡体字」と「繁体字」の2種類が存在し、国や地域によって使われる字体が異なります。ビジネスシーンで中国語の翻訳が必要になった際は、字体の選択を間違わないように気を付けなければいけません。ここで簡単にそれぞれの特徴や違いをご紹介します。

簡体字

主な使用地域 中国本土、シンガポール、マレーシア
特徴 従来の漢字(繁体字)を簡略化した字体

英語では” Simplified Chinese” と表記します。1950年代の「文字改革」より制定されたもので、文字としては意外と新しいことに驚かされます。日本で中国語を学ぶ際の教材もほとんどが簡体字を使用しています。偏(へん)や旁(つくり)が簡略化され画数が少ないため、とても書きやすく、書き慣れると日本人にとって快適で馴染みやすいのがポイントです。

日本語の例文
ようこそ日本へ

簡体字の例文
欢迎来到日本

繁体字

主な使用地域 台湾、香港、マカオ
特徴 従来使用されてきた字体

正字、正体字とも呼ばれ、英語では”Traditional Chinese”と表されます。簡体字と比べ圧倒的に画数が多いのが一番の特徴です。書くのも読むのも大変そうに見えますが、実際のところ繁体字ユーザーはこの字体が好きな人がとても多く、美しい伝統的な漢字を使っていることに誇りを持っているようです。確かに、字によってはもはや「芸術」と表現できるほど複雑で美しい漢字もありますね。

日本語の例文
ようこそ日本へ

繁体字の例文
歡迎來到日本

字体だけでなく表記・表現も異なる

国や地域によっては、漢字の字体が異なるだけでなく用語も異なる場合があります。例えば「タクシー」の場合、以下のように表記します。

中国 → 出租车(簡体字)
台湾 → 計程車(繁体字)

お客様から「簡体字をそのまま繁体字に変換して欲しい」とご依頼を頂くことがありますが、地域によっては用語や表現が異なるため、字体をそのまま変換すると意味が通じなくなる可能性があります。簡体字を繁体字に変換したい場合は基本的に新規翻訳が必要になりますので、ご注意ください。

中国語の方言にはどう対応すべきか

中国語の翻訳をご依頼いただく際、たまに「広東語の翻訳をお願いします」という内容のお問い合わせがございます。中国には広東語の他にも北京語、上海語など「〇〇語」という言葉が複数存在します。これらは全て方言(口語)のことで、日本でいうと関西弁や津軽弁のようなものと考えて頂ければ分かりやすいでしょう。

通訳では地域に応じて各方言に対応します。一方、翻訳(ビジネス文書)で口語を使用することは特別な場合を除き稀なケースになりますので、翻訳会社に依頼するときは、基本的に「〇〇語」ではなく「簡体字」or「繁体字」と、中国語の種類を伝えるようにしましょう。

中国語翻訳を依頼する時のポイント

中国語が使用される国や地域が決まっていたら、それをしっかり翻訳会社に伝えることで用途・場面に適した訳文を仕上げることができます。シンプルに「中国語訳をお願いします」と依頼するのではなく、「中国語の繁体字・台湾向け」という具合に、なるべく把握している情報を翻訳会社に共有することをおすすめします。もし簡体字と繁体字のどちらを採用すべきか迷うようでしたら、翻訳会社へ確認してみましょう。

英語やスペイン語、ポルトガル語など、公用語として使用している国が複数ある言語の場合、中国語と同様にどの地域を対象にしているかを事前に確認しておくと、翻訳依頼から訳文の納品までがスムーズに進むでしょう。

中国語は、世界で一番使われている言語

数多くの言語がある中、世界で最も使われているのが中国語であることをご存知でしたか?中国語が公用語でない国でも中国語話者はたくさん存在しており、その数はなんと14億人を超えると言われています。世界の人口のうち、およそ5人に1人が中国語を話していることになります。

中国本土はもちろん、台湾や香港、マカオ、シンガポール、マレーシア等でも中国語が使われています。また、華僑(海外に移住した中国人)や華裔(華僑の子孫)は世界のあらゆる場所でコミュニティを形成し、その中で中国語を使っています。日本でも横浜中華街のように「チャイナタウン」「リトルチャイナ」と呼ばれる場所がいくつも存在します。ビジネスにおいて中国は、今や日本を抜いて世界第2位のGDPを持つ経済大国と言われていますので、中国企業と商談・取引を行う日本企業は益々増えていくでしょう。

神奈川県の横浜中華街
神奈川県の横浜中華街
兵庫県の神戸中華街

編集後記

この記事では「中国語の種類や、翻訳を依頼する時のポイント」についてご紹介しました。言語の種類や特徴を知っておくことで、一歩踏み込んだ翻訳を依頼できるようになります。
翻訳の依頼を検討する際は、ぜひお気軽にご相談ください。

※この記事は2018年7月13日に公開した記事を再編集しています。

Written by 稲荷 義徳

日本コンベンションサービス株式会社
ビジネスソリューション事業部

※本稿に記載している情報は執筆時点のものです。
 

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