コラム

2022.04.07

オンライン配信の方法や必要な機材は?配信時や録画時の注意点も解説


昨今、オンライン配信を使った非対面形式のセミナーや講演会の需要が高まっています。しかし、「オンライン配信の方法や機材に詳しくないため二の足を踏んでいる」「初めてでも失敗なく大規模なオンラインイベントができるのか」といったことを耳にすることもあります。

この記事では、オンライン配信の基本的なやり方や用意すべき機材について、また、配信や録画時に気を付けるべきポイントについて紹介します。オンライン配信のイベントを検討されている方はぜひご覧ください。

オンライン配信の特長

オンライン配信は、講演会やセミナー、シンポジウムなど、情報発信を目的とするイベントに適した形式です。事前に配信内容を録画、編集して動画を流すなど、コンテンツに特徴を持たせることもできるので、参加者に情報を分かりやすく伝えることができます。

オンライン配信の方法や必要な機材

オンライン配信成功の秘訣は、入念な事前準備、と言っても過言ではありません。準備には大きく分けて、次の3つのステップがあります。以下、順に各工程について説明します。

1. オンライン配信形式の選定

オンライン配信形式は2つあり、まずはどちらの形式で配信するかを決定します。

  • ライブ配信
  • オンデマンド配信

ライブ配信は、リアルタイムで配信する形式です。対面や会場で話しているのと同じように、視聴者とのやり取りができます。一方、タイムキープや急なトラブルへの迅速な対応が求められます。

オンデマンド配信は、撮影済みの動画を編集してアップロードし、配信する形式です。視聴者は、自分の都合の良い時間に動画を視聴することができます。登壇者は事前に撮影するので当日の緊張感が少なく、編集して伝えたいポイントを強調するなど、効果的に情報を伝えることができます。ただし、視聴者とリアルタイムでの交流ができないことから、一方的な配信に陥りやすいため、配信内容の構成や、編集には細心の注意を払う必要があります。

ライブ配信した動画を保存し、後からオンデマンド配信することを「アーカイブ配信」と呼びます。

2. 録画・配信機材の準備

続いて、オンライン配信の形式に合わせて、録画・配信機材の準備をします。たとえばビデオカメラを通して登壇者の様子を映すタイプのオンライン配信で必要な、主な機材は以下の通りです。

  • ビデオカメラ
  • パソコン
  • 外付けマイク
  • ビデオキャプチャーデバイス
  • HDMIケーブル
  • 動画編集ソフト(後日オンデマンド配信を予定する場合)

カメラは、複数台準備すると変化のある映像に仕上げることができます。たとえば2つの画面を映して適宜切り替える場合は、最低でも2台のカメラが必要です。画面切り替えにはビデオスイッチャーを使います。会場で定点撮影をするなら三脚が必要です。画面の見栄えにこだわるなら、動画撮影用の照明を被写体の斜め上に配置すると綺麗に映ります。

ただし、パソコン画面を共有するだけ、パソコンに搭載されている内蔵カメラやWEBカメラで十分、といった小規模なオンライン配信では、ビデオカメラが必要ないケースもあります。高音質で視聴しやすいオンライン配信を目指すなら、外付けマイクを用意します。カメラと外付けマイクが直接つながらない場合は、接続アダプタも必要です。

ビデオキャプチャーデバイスは、撮影した動画をパソコンに送るツールです。多くの場合、パソコンへの接続アダプタも付属していますが、ない場合は購入します。

HDMIケーブルは、カメラとビデオキャプチャーデバイスをつなぐためのケーブルです。撮影場所やカメラの位置が決まっていない場合は、長めのものを用意します。ただし、ケーブルが長すぎると信号の伝達速度が遅くなるので、長さは5~10mを目安にします。

機材を用意したら接続し、正常に作動するかを確認します。動画がパソコンに転送され、映像や音声に問題がなければ準備完了です。オンデマンド配信の場合は、撮影・編集の期間も考慮し、配信日までに余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

3. オンライン配信ツールの選定

続いて、オンライン配信で使用するツールを決めます。web会議ツールのZoomビデオウェビナー、Microsoft Teamsライブイベント、配信ツールのYouTube Liveなどが多く使われています。それぞれの特徴は以下の通りです。

  Zoomビデオウェビナー Microsoft Teams
ライブイベント
YouTube Live
参加人数 最大10,000人
※プランにより異なる
最大10,000人 無制限
特徴
  • 参加人数に応じてプラン選択(有料)
  • 視聴者と発表者は参加無料
  • 有料のMicrosoft 365 Enterpriseを契約していると利用可能
  • 視聴者は参加無料、発表者は有料ライセンスが必要
  • 完全無料で利用可能
  • チャンネル登録者数1,000人超でモバイル配信可能

この他にも、様々な企業向けの配信ツールがあります。無料の試用期間が用意されているツールもあるため、使い比べてから決めることもできます。

オンライン配信や録画時の注意点

オンライン配信の前に確認しておくべき注意点を説明します。滞りなくオンライン配信ができれば、「また参加したい」と感じる視聴者が増えるはずです。そのためには配信当日にトラブルが起きないよう、念入りな準備が必要です。

配信トラブルや音声遅延

オンライン配信において、最も避けなければならないのは配信トラブルです。機材が正しく接続されていないと、動画がうまくパソコンに転送されないなどのトラブルが起こります。また、音声遅延にも注意が必要です。音声が遅れると視聴者がストレスを感じるだけでなく、登壇者と司会者の発言が衝突してしまう可能性もあります。

このようなトラブルの発生は、バックグラウンドアプリを消すなどしてパソコンの負荷を軽くしておくと低減することができます。あらかじめ2台のパソコンを使い、シミュレーションをしておくことも重要です。オンデマンド配信の場合、録画できていなかったというトラブルを避けるために、事前の試し撮りをおすすめします。

ネット環境の整った会場の選択

オンライン配信で使う会場は、占有回線の有線LANがある会場が最適です。

また、オンライン配信ツールはそれぞれ推奨環境を定めています。たとえば「Zoom」では、公式サイトで推奨するパソコンのスペックを掲載しています。複数台のパソコンを使用する場合は、推奨するスペックと推奨環境をそろえておきます。

配信全体の時間配分

オンライン配信の時間配分は、視聴者や登壇者の集中力や疲労感を考慮して無理のないスケジュールにします。たとえば長丁場のシンポジウムなら、60分ごとに10分の休憩を挟むといった工夫が必要です。

また、オンライン配信は主催者が視聴者に向かって配信を行うので、視聴者の反応をつかみにくい場合が多くあります。そのため、受動的に見ていても飽きず、有意義だと感じられる構成と時間配分が重要です。

登壇者との情報共有

外部の登壇者がいる場合は、あらかじめオンライン配信の構成を共有しておきます。視線を向けるカメラの位置や、視聴者からの質問に対する応答方法などについても事前に伝えておくと、よりスムーズに進行できます。

また、オンライン配信の前にリハーサルを行うと、改善点を見つけられることもあり、安心です。

視聴者への案内

オンライン配信では、視聴者側の視聴環境が悪いために音声が途切れたり、画像が乱れたりすることが少なくありません。視聴者には、オンライン配信の前に、推奨ブラウザを使うことや有線での視聴をおすすめするなど、視聴環境の案内をしておきます。

また、当日は配信中にノイズが入らないよう視聴中は音声をミュートにする、といったアナウンスをすると、トラブルが発生しにくくなります。

バックアップシステムの確保

接続に問題がなく、環境が万全に整っていたとしても、急に大きな障害が発生して通信トラブルが起きることはあります。また、用意していた配信ツールが突然使えなくなってしまう可能性も考えられます。

そのため、現在のツールが使えなくなったときのバックアップシステムを用意しておくことが重要です。バックアップシステムがあると障害や事故発生時にも即座に対応できます。たとえばZoomビデオウェビナーを使用するのであれば、Microsoft Teamsライブイベントなど他の配信ツールのアカウントを取得し、バックアップ体制を整えておきます。サブのパソコンを用意する、通信が途切れたときのためにポケットWi-Fiを用意するなどの対策も有効です。

万一に備え、入念な準備をすると安定したイベント運営が実現できます。

オンライン×現地の融合「ハイブリッド開催」での配信

オンライン開催と現地開催を併用したハイブリッド開催は、現地会場でイベントを開催しながら、その様子をオンラインで配信する形式です。ハイブリッドイベントは参加者が自由に参加方式を選べるため、参加者数の増加が期待できます。現地とオンライン両方の利点を生かすことができる、次世代のイベント開催形式です。

ハイブリッド開催のメリット ハイブリッド開催のデメリット
  • 大人数の集客が可能になる
  • 複数の拠点から中継を繋いで開催できる
  • 新型コロナウイルス 感染症の拡大抑制策になる
  • 配信会場と現地会場、それぞれの専用の機材が必要になる
  • オンライン参加者と現地参加者、双方へのサポートが必要になる
ハイブリッド開催のメリット
  • 大人数の集客が可能になる
  • 複数の拠点から中継を繋いで開催できる
  • 新型コロナウイルス 感染症の拡大抑制策になる
ハイブリッド開催のデメリット
  • 配信会場と現地会場、それぞれの専用の機材が必要になる
  • オンライン参加者と現地参加者、双方へのサポートが必要になる

配信方法

ハイブリッド開催での配信には、「録画・配信機材の準備」で説明した機材が必要です。加えて現地開催の準備も必要になります。配信用のカメラやビデオスイッチャー等の映像機器に加え、会場の設営、マイク・スピーカー等の音響機器、スクリーンやプロジェクター、資料投影用のPCなどの準備が必要です。

注意点とコツ

登壇者が1つの会場で発表する場合、複数の場所から発表する場合で、必要になる機材が異なります。後者の方が準備の手間がかかるため、登壇者の発表場所は1つの会場で統一し、もし当日の来場が難しい場合は、事前に収録しておく等の対応を進めます。

オンライン参加者がPC画面から得る情報と、現地参加者が会場で得る情報には、差があります。たとえば、オンライン参加者にはマイクを通さない発言内容は聞こえません。また双方向のコミュニケーションが限定的となります。両者に配慮したイベントを運営するため、質問はオンラインのチャットで受ける等、現地とオンラインでの体験に差が出ないような工夫が必要です。現地会場に設置するスピーカーの音声や、オンライン参加者が聞くマイク音声のチェックを事前に行い、ハウリングが起きないかリハーサルで入念にチェックするなど、音声環境を整えておきます。

JCSグループはオンライン配信に関する実績多数

JCSでは、オンライン配信の設営から当日の運営まで、企業のオンライン配信をトータルコーディネートします。社内のミーティング、顧客に対するオンラインセミナーなど、どんな形式のオンライン配信にも対応します。

オンライン配信の事例

JCSは、社会的なテクノロジーの進化から、イベント運営でも高度なテクノロジーが必要になると考え、1988年にイベント機材の専門会社、株式会社ジェーシーエス・コミュニケーションズ(JCSC)を設立、イベントや会議で最先端の映像・音響機器のオペレーションサービスを提供しています。

JCSCはコロナ禍以前からオンライン配信サービスを提供しており、年間300件以上の開催実績があります。これまで、製薬企業関連ウェビナー、医学系学術集会、企業のPRセミナーなど、数多くのオンラインイベントでサービス提供しています。イベント運営にあたっては、オンライン配信のサービス提供のほか、収録や編集を伴う映像制作、感染症対策用品のレンタル、リモート登壇者のフォローなど、オンラインイベントに関するサービス全般を提供しています。

以下、オンライン配信の事例を紹介します。

【事例】ソフトバンクホークス オンラインファンミーティング

特設スタジオにカメラなどの配信機材を設営し、かつてソフトバンクホークスを支えたエースのOB、斉藤和巳さんと、クローザー(抑え投手)の五十嵐亮太さんが、ファン50名以上と交流する、オンラインファンミーティングイベントの配信を行いました。

Zoomで参加するファンには「イベント参加手順マニュアル」を事前に送付し、スムーズなイベント参加を実現しました。事後アンケートでは、約7割の参加者が「面白かった」と回答しています。

オンラインイベント配信プラットフォーム「JCSCwebinar」

コロナ禍でオンラインイベントのニーズが急増する中、JCSCは2020年8月、イベント運営に必要な4つの要素を満たしたオンラインイベント配信プラットフォーム「JCSC Live Webinar Service(以下JCSCwebinar)」を開発しました。

【イベント運営に必要な4つの要素】

  • インタラクティブ性(双方向コミュニケーション)

    オンラインイベントに欠かせない「チャット機能」や「投票システム」を簡単に利用できます。参加者は配信画面を見ながら文字を入力でき、操作に迷うことがありません。

     

  • リード情報の取得

    イベント参加登録時の入力項目は、任意で設定できます。そのため参加者の属性データを把握、分析できます。また登録者が入退室したログを取得する機能がついているため、アクセス解析も可能です。登録者情報とチャット機能も連携できるため、誰がいつ質問したか確認できます。

     

  • 秘匿性とセキュリティ

    各参加者のログイン認証機能はもちろん、1つのIDで複数ログインを防ぐ「1デバイス認証」の機能が付いているため、不正アクセスを防止します。またAPI連携・CSVデータによる参加登録システムとの連携ができるため、事前参加登録が必要なイベントへの導入がスムーズです。

     

  • ユーザビリティとオリジナリティ

    マルチデバイスに対応し、アプリのインストールが不要です。また2言語までの同時配信に対応しています。同時通訳を使用する場合は、通訳言語を瞬時に切り替えられるボタンを画面上に設置できるため、参加者は操作に迷うことがありません。イベント開催当日は、電話サポートにも対応した視聴者向けのヘルプデスクのサービスを提供しています。

YouTube LiveとJCSCwebinarの違い

配信ツールのYouTube Liveと、比較しました。

  JCSCwebinar YouTube Live
発表者との
コミュニケーション

視聴者全員にコメントが見える「チャット」と、管理者にだけコメントを届ける「質問フォーム」の選択が可能

視聴者全員にコメント内容が見える
画面カスタマイズ
ロゴや画像の設定が可能で、
オリジナルイベントの演出が可能
×
YouTubeのロゴは非表示にできず、カスタマイズ不可
セキュリティ
動画の公開先を限定する機能に加えて、参加者の認証機能、複数デバイスでの視聴を制限する機能あり

限定公開ができるが、URLが分かると視聴できてしまう
サポート体制
機材・システム設定や動画アップロード等全てサポート。配信当日には、視聴者向けの電話サポートもあり

チャンネル設定やアップロードの必要があるが、専用のサポートの窓口がない

※2021年12月31日時点の情報

JCSCwebinarは、令和2年度観光庁事業「新型コロナウイルス収束後のMICEのあり方に関する調査等業務」の報告書に掲載されています。

オンライン通訳・映像翻訳サービス

JCSは、現役通訳者が開発した遠隔同時通訳サービス「RSI-X」、配信する動画を翻訳する「映像翻訳サービス」も提供しており、オンライン配信サービスと併せて提供することができます。

オンライン配信検討の際は、お気軽にお問い合わせください

オンラインイベントは講演会やセミナーの新しい形として需要が増加、それに関連するツールやサービスも日々進化しています。JCSは、最先端のオンライン配信サービスを使った数々のイベントを企画、運営しています。お気軽にお問い合わせください。
 

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