コラム

2017.09.02

通関士の仕事内容と未経験からの採用・キャリアアップまでの方法


国土の周囲を海に囲まれている日本では、海外との貿易が非常に大きな役割を担っています。そうした貿易の中で非常に重要な役割を果たすのが、通関士の仕事です。通関士は海外との取引における、税関での通関の知識や手続きの専門職といえます。今回は、通関士の仕事内容や未経験から通関士になるための方法をご紹介します。加えて通関士のお仕事の将来性やキャリアアップについても解説。目指すべきキャリアアップの方向性がはっきりとするでしょう。

通関士の仕事内容とは

通関士は一般的に運送会社や海運会社、倉庫会社といった通関業者(フォワーダー)に所属し、取引先企業の輸出入物品に対する通関手続きの代行業務が主な仕事です。通関に必要な書類を作成するのはもちろんのこと、「対象の物品自体が規制や法令に対して問題のない貨物なのかどうか」「関税・消費税などを徴収するべきかどうか」などの判断が日常的に求められています。貿易の最前線に立つ、非常に重要な役割を担った通関のプロフェッショナルといえるでしょう。

通関士にはこんな人が向いている

輸出入の際に荷物がスムーズに税関を通過できるかは、通関士の能力にかかっています。物流に関わる仕事であるため、責任感を持って仕事に臨む姿勢が必要です。業務内容として物品の検査や関税の計算などミスが許されない作業が多いこともあるため、日ごろから調べ物や電卓計算が得意な人が向いているといえます。通関関連の書類を作成する際には英語を使いますが、高校卒業レベルの基本的な英語スキルがあれば問題ありません。とはいえ、語学力があればそれだけできる仕事の幅が広がるため、高い英語スキルがあれば採用にも有利に働くでしょう。

また、税関から許可が下りなかった場合などのトラブル時に、不服申し立てなどの交渉を行うのも通関士の仕事です。そのため、専門職で職人気質な人が多いと思われがちな通関士ですが、コミュニケーション能力は必要になります。

通関士になるには資格が必要

通関士として働くためには国家資格である「通関士資格」が必要です。貿易に関する検定試験には様々なものがありますが、通関士資格は貿易関連で唯一の国家資格となっています。受験資格には年齢や学歴などの制限はなく、誰でも受けることができる門戸が広い資格といえるでしょう。ただし、合格率は非常に低く、税関の発表によると、平成27年10月4日に実施された「第49回通関士試験」の結果は、受験者7,578人に対して合格者は764人で、合格率は10.1%でした。通関士の資格試験は年間を通して1回しか行われていないため、しっかりと対策を練っておく必要があるといえます。

通関業者に入ってから資格を取得する人も少なくない

新卒や第二新卒として通関業者への就職を目指す場合は、先に資格をとってから就職活動をする方が有利です。しかし、すでに社会人経験があり、通関業者への転職を目指している人の場合は、通関業者に入って関連する業務を行いながら資格取得を目指してみてください。通関士試験を受けるにあたって、実務経験が5年以上ある場合は科目の免除があるだけでなく、実務経験によって試験内容を事前に理解しやすいという面から、通関業者に入社してから通関士の資格をとる人も中にはいます。通関士への転職を考えている方は、実務経験を積みながらキャリアアップしていく方法をオススメします。

通関士は国際社会で将来性のある仕事

近年のグローバル化の流れや、日本製品が海外で高い評価を受けていることからも、通関士の仕事には将来性があるといわれています。社内での通関士としての能力が認められれば役職がつき、管理職へのキャリアアップが見込めます。ほかにも、通関士の資格と経験を活かして転職し、営業職や経営企画職に就く道もあります。輸出入に関する知識とノウハウを活かしてコンサルタントとして活躍できれば、年収アップを実現しやすくなります。

大手企業などでは通関業者を通さずに、自社に通関士を雇って関税の手続きを行うケースも増えています。そういった背景からも、通関士の勤務先はメーカーや商社にまで広がっていくことが予想されており、未経験者にも就業のチャンスがあるといえます。これからの日本において、通関士は将来性豊かな仕事です。通関士の資格を取得すれば、異業種でも税関のプロとして市場での価値を発揮することができます。転職も視野に入れたキャリアアップの方法を知っておいてください。

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