コラム

2025.10.08

2025年大阪・関西万博「いのちの遊び場 クラゲ館」の運営に参画 ― ダイバーシティの観点から学生スタッフの体験記


当社はこれまで、さまざまなMICEの現場で、誰もが安心して働き・参加できる環境づくりに向けた実証を積み重ね、ビジネスイベントにおける多様性を生かした運営について、ノウハウを蓄積してきました。
2025年大阪・関西万博「いのちの遊び場 クラゲ館(以下、「クラゲ館」)」は、誰もが参加し、学び合える“インクルーシブ”な場を目指してつくられました。クラゲ館で当社は、これまでの知見を生かし、「インクルージョン」をテーマとする運営に参画しました。
ここでは、クラゲ館での実践を通じて見えてきた「ダイバーシティのかたち」を、現場スタッフの体験やプロデューサーの理念を交えながらご紹介します。

第一弾となる本稿では、スタッフとしてクラゲ館の運営に携わった大学生の経験をご紹介します。小さな一歩が来場者の体験を変え、「誰も取り残さないコミュニケーションの力」を実感する機会となりました。

クラゲ館で、JCSがサポートした大学生スタッフ・永長さん。彼にとってこの経験は「一生に一度の機会」だったといいます。
「万博に行ったこともなく、接客にも自信がありませんでしたが、それでも挑戦したいと思いました。」

緊張から自信へ

初日は緊張の連続でした。来場者への案内や質問対応は難しく感じられ、戸惑いも大きかったそうです。それでも研修や仲間の励ましを受け、少しずつ自信をつけていきました。
永長さんは当時を振り返ります。
「最初は本当に緊張しました。お客様へのご案内や質問への対応が自分にできるのか不安でいっぱいでした。でも、研修でコミュニケーションのコツを学んで、実際の勤務を重ねるうちにだんだん落ち着いて対応できるようになりました。周りのスタッフの励ましにも助けられました。」

小さな行動が場を変える

特に印象に残っている場面について尋ねると、こう語ってくれました。
「ある日、お客様を迎えるときに思い切って手を振って『ようこそ』と声をかけてみました。最初は恥ずかしかったのですが、他のスタッフが自然に笑顔で手を振っているのを見て、自分もやってみようと思ったんです。すると本当に多くの方が笑顔で手を振り返してくれて、温かい言葉までかけてくださいました。たった一つの小さな動作で、こんなに場の雰囲気が変わるんだと実感できて、大きな学びになりました。」
こうした体験を通じて、「人と人が自然につながる場づくり」の大切さを実感することができました。
同時に、課題にも気づきました。車いすを利用する立場から、バリアフリーの工夫がある一方で、人混みでの移動の難しさや、視覚に障がいのある来場者をどう支えるかといった課題も感じたといいます。
「誰もが自信を持って働ける環境をどう作るのか、深く考えるきっかけになりました。」
永長さんは、この経験をきっかけに「自分のスキルをもっと磨き、多様な人が共に参加できる場づくりに貢献したい」と考えるようになりました。クラゲ館でのアルバイトは、単なる学生の仕事ではなく、「日常の中に共に生きる意識が根付くこと」を学ぶ機会となったのです。

永長さんの体験は、理念が日常の行動を通じて形になることを示しています。当社はこれからも、多様な人が共に参加し、交流できるビジネスイベントを創り続けていきます。

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