コラム

2017.09.10

国際資格CMPのコラム第30弾「Manage Meeting-Related Sales Activities」


当社職員がお送りする、ミーティングプランナーの国際資格(CMP)をテーマにした「MICE Japan」の連載第30弾です。今回はセールス活動について学びます。CMP(Certified Meeting Professional)は、約2万団体・10万名が属する世界最大のMICE産業団体Convention Industry Councilが認証する、ミーティングプランナーの国際資格です。

Sub Skill 29.01 - Contribute to sales plan and objectives
Sub Skill 29.02 - Conduct sales activities

CMP出題頻度:0~ 2問(合計150問)


会議・イベントの収支は、参加登録費やスポンサーシップなどの収入を得るためのセールス活動に支えられています。セールスとマーケティングは同じ部署で兼務されることも多いのですが、それぞれのアプローチとプロセスは異なります。今回はセールス活動について解説します。 参加登録の促進にあたっては、その対象が明確でコンタクト先もわかっているなら、その本人に直接アプローチするのが正しい方法です。

(1)なぜそのイベントに参加するべきなのかを示し(why attend)
(2)物理的に参加が可能かどうかを確認
(3)参加を妨げる障壁は何なのかを聞き出して
(4)参加を勧める、という4つのステップで口説き落とします。

参加登録料以外には、そのイベントが対象としている分野・業界のサプライヤーに対してセールスを行います。スポンサーシップや展示、広告という形で出資を募ります。 また、参加者を対象とした物販として、スピーカーの著書や記念品を販売したり、最近では、物理的にイベント参加できない人を対象としたハイブリッド参加登録カテゴリーの設置、事後の収録コンテンツ販売ということも行われています。

セールスプラン

Sub Skill 29.01 - Contribute to sales plan and objectives strategy

セールスプランを立てるにあたっては、まずは過去の履歴について、何がどれくらい売れたのかデータを集めます。次に、各商品の購買者についてターゲット・セグメンテーションを行います。たとえば潜在参加者のうち「予算や時間的制約でイベントに参加できない人」および「イベント開催中はネットワーキングに専念したい人」というセグメントが、「イベントの収録コンテンツ」という商品の主なターゲットとなるわけです。 セールスプランを立てるにあたっては、つねに競合状況に気を配る必要があります。たとえば商談会への出展勧奨を例に挙げると、まず、出展者の立場から見た選択肢にはどのような商談会があるのかをリストアップしてみます。これらの競合イベントの中で、自分のイベントが提供しうる価値(valueproposition)はどういうものなのか、出展者の商談がどれくらい達成されるのか、ということを常に意識する必要があります。
また、スポンサーシップのセールスのためには、基本的には顧客に提示する前に価格とパッケージ(商品の組み合わせ)を決めて臨む必要があります。価格はコストから算出するだけではなく、顧客にとっての価値も念頭に置いて決めます。
過去のセールス実績と、達成すべき収入目標を確認したら、セールスプランを立てます。セールス担当者のモチベーションを保つためには、コミッションやインセンティブを設けて、最低必達ラインよりすこし高めの目標を設定します。また、ウェブサイト上での販売・決済を行う場合は、基本的なウェブサイト構築費用に加えて、決済システム構築費用が追加でかかることを忘れないでください。
イベントの期間中、スポンサーや出展者との話し合いの場を設けることも有効です。この場合はあらかじめ議題を伝えておき、彼らのイベント期間中の活動を妨げない時間帯を選びましょう。当然のことではありますが、この話し合いの場に参加できることは、実際に出資したスポンサー・出展者に限定したベネフィットとします。

セールス活動を進める

SSub Skill 29.02 - Conduct sales activities

セールスとマーケティングには似た部分が多いからこそ、その2つの活動が重複しないように、まとめて計画・実施することが望ましいです。CRM(customer relationmanagement)システムを用いて、過去の顧客とのやりとり(SNS、電話、Eメール、郵送物など)を把握したうえで対応することは、顧客の自尊心と満足感を高めます。
販売する商品によって異なりますが、基本的なセールスプロセスは下記のとおりです。セールス担当者によってパフォーマンスに個人差があるので、インセンティブを設けてモチベーションを維持する必要があります。

  • 引き合い内容を吟味する(qualifying leads)
  • セールスのアポイント依頼(conducting sales calls)
  • プレゼンを行う(delivering sales presentations)
  • 提案書を準備する(preparing proposals)
  • 詳細について交渉する(negotiating sales details)

いわゆるダイヤモンドスポンサーなど大きな金額のパッケージ・スポンサーは通常、役員決済となります。いったんパッケージ・スポンサー契約を締結したら、そのあとの実施プロセスは下記のようになります。

  • 効果の追跡・検証(benefits tracking)
  • 計画段階での話し合い(communications during planning process)
  • スポンサー側担当者へのパッケージ詳細説明(sponsor training)
  • 会期中のパフォーマンス管理(on-site management of the sponsor experience)
  • 会期後フォローアップ(post-event follow-up)
  • 報告書作成(reporting)

こうした大物のセールスを実施するためのひとつの方法として、同じ分野の商談会などで開催されるパーティーなどのネットワーキングに潜入する、という方法があります。Cのつく役職者、すなわちCEOやCOOといった決裁権のある人々が集まるネットワーキング・イベントを見定めることが重要です。
パッケージを売るための戦略としては、(1)複数のアイテムを組み合わせて割引価格で販売する(例:参加登録費+収録コンテンツを割安で販売)、(2)アイテムに無料のアイテムをつける(例:早期登録参加者にはスピーカーの著書をプレゼント)というものもあります。
なお、セールスに係わる税金は開催地によって異なるため、よその州や海外でのイベント開催にあたっては、当地の税務署などに問い合わせるというケースもあるようです。

新規CMP合格者2名誕生!

  • 図1.アジアパシフィック主要国のCMP人数(2017年8月26日時点) 図1.アジアパシフィック主要国のCMP人数(2017年8月26日時点)

Congrats Two New CMPs!

CMP試験は年4回行われていますが、第3四半期の試験では新たに2名のCMPが誕生しました。Yanagisawa Misatoさんと日本コンベンションサービスの小林和歌さんです。おめでとうございます!

2012年に観光庁「MICE人材育成事業」の一環として始まったCMP育成プログラムですが、この5年間で日本人CMPは2名から21名にまで増えました。このペースでいけば、1年後には韓国(28名)を越え、2年後には台湾(31名)、5年後にはシンガポール(48名)を抜いてアジアNo1に輝く日も夢ではないかもしれません。MICE業界のみならず、ツーリズム&ホスピタリティ業界における国際競争力強化の一環として、これからも日本から多くのCMPが誕生することを願っています。

公開質問を受け付けます

Any questions?

これまで29回にわたり続けてきたこの連載も、いよいよ翌月で終了となりました。ついては読者のみなさんからの質問を募集します。CMP受験に向けた効果的な勉強方法、どうしても意味の分からない専門用語やルール、ゴルフの景品の巨大なイカを食べきることはできたのか(2016年2月号)。どんなことでも結構ですので、Eメールでkeiko-n@convention.co.jpまでお送りください。
なお、CMP の認証団体 Event Industry Council(旧Convention Industry Council)では本部所在地やスタッフが変わり、新しい体制となりました。これに伴い、CMPについても多少の方針変更がありそうです。今年10月にラスベガスで開催されるIMEX Americaで関係者の集まりがあるので、今後の方針を確認してきます。これは残念ながら翌月号には間に合いませんが、いずれ何らかの形でお伝えできればと思います。

 
  • 押さえておきましょう! CMP用語集(terminology)

    Customer relationship management ---------- CRM

    Value proposition ---------- 提供価値

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