イベント&講演

2021.04.06

愛知県のユニバーサルツーリズム推進事業として障害者目線で学ぶ「体験型セミナー」を担当


「ユニバーサルツーリズム接遇実地研修会」が、2月4日にホテルアソシア豊橋(東三河地区)で開催されました。本研修会は、愛知県が3カ年計画で実施している「ユニバーサルツーリズム推進事業」の一環で行われ、本年はその3年目にあたります。本研修会はこれまで、三河湾リゾートリンクス・西尾観光案内所(西三河地区)、ホテルサンルートプラザ名古屋(尾張地区)で開催され、今回が3回目となります。開催にあたっては愛知県や会場であるホテルなどのガイドラインに則り、感染防止対策を取った上で実施されました。

「障害者目線で学ぶソフト面での対処法-明日から役立つ体験型セミナー」をテーマに、ホテルなどの宿泊施設や観光案内所など観光業に従事している事業者およそ60名が参加、ホテルアソシア豊橋(東三河地区)で開催された研修には19名が参加しました。

本研修会は、高齢者や身体障害者の方々を受け入れる際のコミュニケーションに際して、「観光従事者のみなさまに、想定される場面を中心に明日から役立つノウハウを身につけていただきたい」という趣旨のもと、愛知県観光コンベンション局が主催となって開催されました。JCSは今回の研修を、協働パートナーである株式会社ミライロ様とともに、プログラムの企画監修から当日の運営までを行いました。また、介助犬デモンストレーションは、社会福祉法人日本介助犬協会様のご協力をいただいてオンラインで実施しました。

参加者の声

  • 勝手に自分の思い込みで行動するのではなく、相手に聞いて行動するということが一番重要ということを学びました。

    施設が多様な方々に配慮されていない状態でも、「まずは現時点の情報や選択肢を公開するというのが今すぐできる解決策だ」と提示してくれたのがよかった。

    体験型の研修により、障害者の方の立場で考えることができた。また、実際にやってみて、知らないことばかりでとてもためになった。

座学と実技を交えた接遇研修

研修の冒頭で行われた「ユニバーサルマナー講演会」では、ご自身が視覚障害者でもある株式会社ミライロの田中利樹様が講師として「障害者についての基礎知識」、「宿泊施設における事例」、「明日からできる対応方法」などをテーマに、「ユニバーサルマナーには、特別な知識や高度な技術は不要。また、ユニバーサルマナーが様々なバリアを解決する第1歩」とお話しされました。続いて、車いす実技では、実際に参加者は「障害者の方へのお声がけの方法」、「車椅子の押し方の方法」、「段差の誘導方法」、を学び、他にも視覚障害者・聴覚障害者体験、オンラインでの介助犬研修、他にもバリアフリーを考慮したユニバーサルルームの視察を行いました。

本研修を通して、設備のハード面だけではなく、どんな心づかいをしたら快適にお泊りいただけるのか、お問い合わせの際の対応といったソフトの面での対応方法について、参加者は学びました。

協働パートナーのコメント

株式会社ミライロ シニアディレクター 
障害者雇用推進アドバイザー 
石井 匠 様


観光施設はまだまだバリアフリーの整備がされていません。今回のような研修を通して、数多くの施設の方々にユニバサールデザインのメリットを感じてもらい、バリアフリー化が進むことで「普通のレベルを上げていく」、「障害のある方が宿泊することがごく普通にあること」、それらのことを意識しながら今後も事業を行なっていきます。結果的に、障害の有無に関わらず、より多くの方が気軽に観光に出かけられるような世界になることを望んでいます。
また、手話通訳やタイピングを使った文字通訳などのアクセシビリティは、より拡がってきています。今後も多くのイベントを通して多く人がそのようなアクセシビリティを触れていくことで、世の中の当たり前の基準が上がっていく取り組みをおこなってまいります。

主催者のコメント

愛知県 観光コンベンション局 観光振興課 
観光振興グループ 
課長補佐 上田 茂 様


愛知県はきたる2026年に開催予定のアジア競技大会をはじめとした将来の需要に備え、また社会からの要請に応えるためにも、今からユニバーサルツーリズムを推進していくことはとても大切なことであると考えています。そのため2018年度からユニバーサルツーリズム推進事業に取り組んでいます。初年度は啓発セミナーを開催し、昨年2020年は「Aichi Now」という愛知県の公式観光ホームページ上において500を超える観光施設のバリアフリー情報を発信しました。そして今年は実際に観光施設の方々のために接遇研修を行いました。今後はハンディキャップを持った方々へのツアー情報の提供や、実際に観光施設を訪れ楽しんでいただけるよう、ユニバーサルデザインを意識した施策を一層進めていきたいと思います。

ユニバーサルツーリズム促進に向けて

JCSではこれまで、世界最大規模のユニバーサルデザインに関する国際会議である「国際ユニヴァーサルデザイン会議」や「日本身体障害者補助犬学会学術大会」などの運営経験と、公共施設の運営を通し、国内外から多様な障害者の方々を迎え入れてきました。また、今回はユニバーサルツーリズムの専門家であり、障害者当事者目線から各地で活動を行なっている(株)ミライロ様と協働で、「明日から活用できる」をテーマに本研修を実施しました。

今後もJCSでは、ユニバーサルツーリズム促進の支援を行ってまいります。

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