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2021.10.14

通訳アプリ「RSI X」の利用ユーザーが5万を突破!国際イベントで指名される理由を開発者にインタビュー


2021年の夏、世界最大国際スポーツ大会が開催され、国内外から100名近くの通訳者が東京に集まりました。大会では、熱戦の模様を知らせるツールとして遠隔同時通訳アプリ「RSI X」が使われ、多くの企業・団体が利用。「RSI X」は舞台裏から大会を支えました。

この記事では、通訳者としての経歴を持つ「RSI X」の開発責任者、Alexandre Ponomarev氏に、アプリの開発秘話やユーザーの評価、今後の展望についてインタビューした内容を紹介します。

インタビューに応えていただいた方

RSI Exchange社
Alexandre Ponomarev氏

スイス在住。米国モントレー国際大学卒業後、通訳者として活躍。ロシア語、ウクライナ語、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、デンマーク語など、複数言語の通訳を得意とする。世界経済フォーラムや世界最大国際スポーツ大会の主任通訳を務め、G8サミットやG20サミット等の主要国首脳会議の通訳経験が豊富。現在は通訳のコンサルティングに従事。

競合アプリが存在する中、「RSI X」を
開発した背景

Ponomarev氏 2019年当時、通訳者としてRSI(遠隔同時通訳)のシステムを使いたいですか?と聞かれたら、私の答えはNOでした。いくつかのRSIを利用しましたが、通訳者の視点で使いやすいと評価できるサービスはありませんでした。

実際にRSIを操作してみると、通訳者のニーズを把握してUI/UX(※)を設計しているとは思えませんでした。改善すべき課題がたくさんあると感じたからです。そんな中、新型コロナウイルス感染症が世界中にまん延しました。2020年3月、コロナ禍のウクライナで身動きが取れない時期があったのですが、現場に出向く必要のある通訳者にとって、これは大きな問題でした。そこで、通訳者のニーズに応えた、通訳者がパフォーマンスを発揮できるプラットフォーム(アプリ)を開発しようと決意したのです。

※UI(User Interface)は、人と製品・サービスをつなぐ接点。UX(User Experience)は、人が製品・サービスに触れて得られる体験です。

ターゲットの利用環境と、アプリに求められる性能

Ponomarev氏 RSIの必要性はお客様によって異なりますし、求める機能やスペックも違います。「Zoomを使いたいです」「Teamsで会議をしたいです」など、Web会議システムを指定する声も多く頂いていました。このような意見を踏まえ、お客様が使用する“あらゆるWeb会議システム”と互換性のあるアプリケーションが求められていると判断しました。

音声品質の良さと、シンプルかつ直感的に使えるアプリの操作性の2点も重要です。これらは、Web会議システムと連携する際の、安定した高品質な通訳音声を届けるためのファクターです。そして、他社のRSIサービスと差別化を図るため、我々は少数精鋭のエンジニア体制を構築し、柔軟なアップデートを可能にしました。多様なニーズに迅速対応できていることが、世界最大国際スポーツ大会などで指名される要因になりました。

Web会議システム「多言語機能」の
脆弱性を解決

Ponomarev氏 ZoomやTeams等を利用したオンライン会議で「2言語による通訳」を行う場合、私たちがサポートしなくても、お客様だけで準備できるケースがあります。しかし、「3言語以上の通訳」を扱う多言語イベントの場合、適切に準備する方法がわかりません…というお問い合わせを、非常に多く頂いています。

あまり知られていませんが、複数言語を扱う際、通訳者は煩雑な作業を行なっています。例えば、通訳者はリレー形式の同時通訳(※)を聞くためだけに、パソコン又はスマートフォンといった別のデバイスで、Zoomにログインしています。この操作と同時に、WhatsAppなど通訳者同士がコミュニケーションするためのアプリを起動して連携をとっています。このように、通訳者は通訳以外に神経を使う手元の機械操作が多く、複数の作業を同時進行しています。

これらの煩雑な作業は、通訳の内容、品質を下げる要因になるだけでなく、通訳のミスを誘発する要因にもなり得ます。「RSI X」は、複数の操作がたった1台で完結しますので、通訳者が操作しやすい、使いやすい、通訳者ファーストなアプリと言えます。

※リレー形式の同時通訳とは
略してリレー通訳とも言います。使用言語が3言語以上の場合に使用される通訳手法。例えば日本語・英語・韓国語を使う会議で、【日本語―英語】対応の通訳者と【日本語―韓国語】対応の通訳者が業務に当たった場合、英語の発言はまず日本語に訳出し、その日本語を聞いて韓国語に訳出され「英語→日本語→韓国語」の順で通訳が行われます。

低速モードや3G回線で、安定した音声が届く

Ponomarev氏 「RSI X」は、他社製品に比べ通信の軽さに秀でています。極論を言うと、アプリを利用するユーザー側のインターネット環境が高速である必要はありません。例えば、特定の国・場所によっては最新の通信環境が整っていなかったり、利用者のスマートフォンのスペックが古かったりします。そういった場所では、低速モードや3G回線の条件でも、安定した音声を届けられるかが重要になるので、通信の性能強化に注力しました。

そして、オンライン環境のイベント・会議で一番困ってしまうのが、インターネットの接続が不安定な参加者の環境です。自宅や外出先、電車に乗りながら参加・視聴するケースも増えました。よって、最低限のインターネット環境で安定した音声を届けられるかが、遠隔同時通訳の必須要件と言えます。

「RSI X」を利用した、ユーザー視点の
客観的評価

Ponomarev氏 ありがたいことに、「RSI X」に関するポジティブなフィードバックを多く頂いています。お客様の評価レビューでは、「音声の質がすばらしいです」「アプリの使い勝手が良かったです」といったコメントをいただきました。通訳者視点のUI/UXが優れていると、必然的に通訳の内容・音声の質が良くなりますので、結果的に通訳を必要とする商談・交渉の成果に貢献することができます。ここに「RSI X」の真価があると思っています。報道関係では、「USA TODAY」というアメリカのWebメディアで、私の記事を掲載していただきました。

具体的な導入事例と、お客様の声

  • 国連機関:6言語を扱うイベント
    使い勝手が良いです。元々別のプラットフォームを使っていましたが、「RSI X」の方がシンプルで高音質、サービス担当の対応も素晴らしかったので、リピート利用しています。

    世界最大国際スポーツ大会:2万人を超えるユーザーが世界中からアクセス
    どこにいても、スマートフォン1台で会見映像と音声が視聴できますので、とても便利でした。通信も不安定にならなかったです。

    大手エネルギー機関:タウンホールで6000ユーザーが同時アクセス
    サポートの対応にとても満足しております!シンプルで使いやすいのが一番です。

JCSと一緒に、デジタル領域で
イノベーションを起こしたい

Ponomarev氏 JCSとパートナー契約を結び、「RSI X」を日本で普及できることをとても嬉しく思っています。我々は世界最大国際スポーツ大会など、大規模な案件を手掛けていますが、会社の規模としてはまだ大きいとは言えません。現在は欧米を中心にした営業活動を行っていますが、今後は日本を始め、世界をターゲットに活動するべく、各地の営業面を強化しています。2022年は、更にマーケットシェアを拡大していく予定です。

コンベンション・イベント業界は、ICTの活用、突き詰めるところクラウドシフトは避けて通れないと思います。現地開催のリアルイベントはまだまだ根強く残ると予想していますが、多くのカンファレンスはDXの利便性や効率性を根拠に、オンラインへ移行しています。私たちはこの多様な市場のニーズを的確に捉え、デスクトップアプリやビデオカンファレンスプラットフォームといったICTサービスを今後リリースしていく予定です。これらのデジタル領域において、JCSと連携してイノベーションを創出していきたいと考えています。

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