コラム

2024.11.18

会議通訳者とは? 必要なスキル・能力、なり方、働き方やキャリア事例まで徹底解説!


グローバル化が進む現代社会において、会議通訳者は国際的なコミュニケーションを円滑に進めるために重要な役割を担っています。
本稿では、グローバルなビジネスや国際交流の場で活躍する「会議通訳者」について解説します。会議通訳者になるために求められるスキルや能力から、働き方、キャリア事例について詳しく紹介します。

会議通訳者とは

会議通訳者とは、国際会議、ビジネス会議、政府間交渉、学術会議、シンポジウムなどといった重要なシーンやイベントにおいて、異なる言語間の円滑なコミュニケーションを支援するプロフェッショナルです。単語やフレーズを一方の言語から他方の言語へ変換するだけでなく、文化的背景や発言の趣意を正確に理解し適切に伝えることが求められます。

会議通訳者に必要なスキルや能力とは

会議通訳者には単なる言語能力だけでなく、通訳技術や情報収集力など多岐にわたるスキルが必要です。本項目では、「会議通訳者になるため」と「会議通訳者として活躍するため」に求められるスキルと能力について解説します。

会議通訳者になるために必要なスキルと能⼒

まず、会議通訳者になるために必要なスキルと能力について紹介します。

高度な⾔語能⼒
会議通訳者にとって言語能力はすべてのスキルの土台となる、不可欠の力です。聴解力や語彙力があるのはもちろんのこと、それぞれの言語での微妙なニュアンスの違いや文化的背景も理解している必要があります。また、専門的な用語や話し手の意図を正確に理解し、ビジネスミーティングや学会など、シーンに合わせた表現を適切に使いこなすことが求められます。
言語能力というと訳出される母国語以外の言語に注目しがちですが、実は母国語の高度な理解力と表現力も不可欠です。特に日本語は主語があいまいで、婉曲表現も多いため、他言語へ通訳する際は話し手の意図を正確にくみ取り、正しくアウトプットする力が必要です。また日本語へ通訳する際は、自然でわかりやすい表現で伝える力が通訳パフォーマンスを大きく左右します。日頃から新聞を読んだり、講演やニュースを聞いたりするなど、母国語での表現方法を学ぶ努力が必要です。

基礎的な通訳技術
会議通訳者には相手が話した内容を瞬時に把握し、趣旨や要点を捉えて誤解の生じないよう言語間で正確に変換することが求められます。これには、高い集中力と素早い情報処理、そして適切な語彙選択が必要になります。こういった通訳技術を向上させる有効な手段として、後述する専門の通訳養成スクールに通う、または通訳に特化した学部のある大学や大学院で学ぶ方法が挙げられます。

 
学習意欲と情報収集力
会議通訳者には、学習意欲と情報収集力も非常に重要です。通訳をする際、話し手の意図を正確に理解することが必要ですが、そのためには知識が欠かせません。多岐にわたる分野の最新の技術や話題に触れる機会が多いため、最新のニュース、技術トレンド、新たな専門用語などに敏感であることが大切です。
異文化理解や各国の動向についても情報収集を怠らないことで、予定していない内容を話し始める話者にも柔軟に対応できるようになります。長年活躍されているトップレベルの会議通訳者は知的好奇心が強く、常に情報収集を行っている方が多いです。日常的にアンテナを張り、インターネット、SNS、専門誌、関連書籍などから幅広く情報を収集する習慣を身につける必要があります。

専門資格の取得
会議通訳者としてキャリアをスタートさせるために、必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、会議通訳者には極めて高い言語能力が求められており、実力を客観的に証明するためにTOEICや実用英語技能検定のスコアを提示することは有効です。

 

会議通訳者として活躍するために必要なスキルと能力

まず、会議通訳者になるために必要なスキルと能力について紹介します。

専門知識
専門知識が特に求められる分野には、医薬、法律、金融、技術(ITやエンジニアリング)などがあります。これらの分野では、専門用語や背景知識の理解が求められ、国際会議や学術分野でも高度な専門性が必要です。特定の分野で活躍することを目指す場合は、その分野の実務経験があると有利ですが、会議通訳者として最初から専門性を持つ必要はありません。幅広い分野に柔軟に対応しながら、得意分野を見つけて専門性を深めていくことも一つの方法です。

テクノロジーの活用
現代の会議通訳者には、テクノロジーの活用スキルも欠かせません。新型コロナウイルスの感染拡大を機に資料提供のデータ化や、リモート通訳の普及が進みました。自宅からのリモート通訳が当たり前となった今、1日に2件以上の複数の案件に対応する会議通訳者も少なくありません。テクノロジーをうまく活用できれば、事前準備の効率を高められたり、多くの案件に対応できるようになります。

 
ソフトスキルとプロフェッショナリズム
会議通訳者には、コミュニケーション能力、対人関係スキル、ストレスマネジメントなどソフトスキルも必要です。通訳が必要な会議やイベントでは「予想外のトラブル」が発生することもあります。海外講演者の到着の遅れや、ネットワーク障害によって生じる急なプログラム変更、英語堪能な日本人による予定外の英語での発言など、予期せぬ事態が起きても臨機応変に対応し、業務を進めることが求められます。
また、時間厳守、守秘義務を守る、クライアントや同僚に対して敬意を払う、TPOに即した応対なども求められます。第一線で活躍し続けるためには、優れた通訳技術だけでなく、こうした日々のふるまいの積み重ねがあってこそ、クライアントや同僚、そしてエージェントからの信頼が得られるものです。

 

会議通訳者になるには

通訳技術を学ぶにはいくつかの選択肢がありますが、ここでは2つの例を紹介します。

通訳養成スクールに通う

効果的な方法の1つが、専門の通訳養成スクール(通訳学校)での学習です。スクールでは、現役の会議通訳者から直接指導を受けることができ、実践的なスキルを体系的に学ぶことができます。授業では、逐次通訳や同時通訳の技術、専門用語の理解、瞬時に訳すためのリスニング力と反応力の養成などが行われます。また、通訳学校では、業界の最新動向や実際の現場での経験談を聞く機会も多く、実務に直結する知識とスキルを身につけることができます。さらに、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨することで、モチベーションの維持にもつながります。通訳学校は、会議通訳者としてのキャリアを真剣に考える人にとって、非常に有益な学びの場です。

大学・大学院の通訳課程で学ぶ

もう1つの方法は、通訳に特化した学部のある大学や大学院での学習です。大学・大学院の通訳課程では、通訳技術だけでなく、言語学、異文化コミュニケーション、専門分野に関する知識など、幅広い学問的背景を学ぶことができます。日本の大学では、日本特有のビジネス文化や社会的文脈を踏まえた通訳教育が行われるため、国内での通訳活動に直結するスキルを磨くことができます。一方、海外の大学では、グローバルな視点と多様な文化背景を持つ学生との交流を通じて、国際的な通訳の現場で必要とされる柔軟性と適応力を身につけることができます。

会議通訳者の雇用形態と年収

会議通訳者の年収やキャリアパスは、雇用形態によって大きく変わります。本項目では「企業内通訳者」と「フリーランス」の特徴を比較し、自身に最適な働き方を見つけるためのヒントを提供します。

企業内通訳者

特徴
企業内通訳者は、企業や組織内で社員や部門間のコミュニケーションをサポートします。正社員として雇用される場合もあれば、派遣社員、契約社員として雇用される場合もあります。

安定性
固定給与と福利厚生があり、安定した収入が望めます。また、企業の従業員として長期的な雇用関係を築くことも可能です。オフィスなど定められた場所での勤務が主となり、勤務時間も規則的です。

柔軟性 所定の勤務時間や場所があり、働き方の自由度は制限される場合があります。特定の企業や業界に特化するため、他の分野での経験が限られる可能性があり、新しいスキルや知識を習得する機会が少ないことがあります。

キャリア
特定の企業や業界に特化した知識とスキルを深めることができます。定例的な会議での通訳を繰り返し対応することにより、よりスムーズで高品質な通訳が可能となるでしょう。

年収
企業内通訳者の年収は、経験、業界、企業規模、勤務地によって異なりますが、平均として年収400万円から700万円程度と言われています。特に外資系企業や大手企業、専門性の高い業界では比較的高い年収が期待できます。安定した収入と福利厚生のメリットがありますが、大きな増加は見込めないことがあります。

 

フリーランス

特徴
フリーランス通訳者は様々なクライアントの会議や交渉等でのコミュニケーションをサポートします。特定の企業に雇用されないため、複数の通訳エージェントに登録して仕事を請け負うケースが多くなります。

安定性
評価や実績の積み重ねが重要で、顧客やエージェントと信頼を築くまでに時間がかかる場合があります。仕事が少ない時期には安定した収入を得ることが難しい可能性がある一方で、高いスキルや豊富な経験を活かして高収入を得る可能性もあります。勤務場所は案件毎に異なります。

柔軟性
仕事のスケジュールを自分で決めることができるため、ライフスタイルに合わせた自由な働き方が可能です。様々なクライアントやプロジェクトに関わるチャンスがあるため、多様な経験を積むことができます。

キャリア
様々な分野や業界での通訳経験を積むことができ、新しいスキルや知識の幅が広がります。評価や実績を積むことで、国際会議や学会など大規模な会議で活躍する会議通訳者を目指すことが可能です。

年収
フリーランス通訳の年収分布は非常に幅広く、働き方、経験、スキルなどによって大きく変動します。収入が不安定である一方、経験・スキルのある会議通訳者には高い報酬が支払われ、年収1000万円を超える場合もあります。継続的な自己研鑽と、数多くの案件を請け負うための自己管理能力を身につけることで、大幅な年収アップも目指せます。

このように、企業内通訳者とフリーランス通訳者には、それぞれ異なる特徴があります。自身の性格、ライフスタイル、キャリアプランなどにあった選択をすると良いでしょう。

 

会議通訳者のキャリア事例

ここでは、実際に会議通訳者として活躍されている方々の事例を挙げて、どのように通訳者としてのキャリアをスタートし、実務経験を積み重ねているかを紹介します。

学生時代から会議通訳者になることを目指していたAさん

学生時代から会議通訳者になることを目指していたAさんは、外国語学部のある大学で語学力を身につけ、その後海外の大学院に進学し、通訳技術を学びました。卒業後は派遣社員として複数社で企業内通訳の経験を積みます。その後スキルアップを目指して就業しながら通訳養成スクールを修了し、現在はフリーランス通訳者として活躍しています。

社会人経験を積む中で会議通訳者になることを目指したBさん

社会人経験を積む中で通訳者を目指される方もいます。Bさんは海外の大学を卒業後、一般企業に就職しました。海外のクライアントとのコミュニケーションをサポートする中で会議通訳者の仕事に興味を持ち、通訳養成スクールで通訳技術を学びます。スクール修了後は企業内通訳として会議通訳者のキャリアをスタートさせました。

会議通訳者として活躍している方の年代は20~60代以上と幅広く、実力があれば年齢に関係なく活躍することができます。そのため、会議通訳者になることを目指すのにタイミングが遅すぎるということはありません。ただし高い語学力は必須であり、日頃から継続的な学習と自己研鑽を続けることが重要です。

まとめ

会議通訳者は、高い語学力とスキルをもってコミュニケーションを支援するプロフェッショナルです。経験を積み専門知識を磨きながら活躍の幅を広げ、長期的なキャリアプランを築くことも可能です。近年、AI技術の急速な進展で機械翻訳が進化しているものの、文化的背景や互いの共通認識などを前提として進むコミュニケーションでは、話し手の意図を正しく理解する人間の通訳者の役割は依然として不可欠です。これからの時代、高度な通訳スキルと柔軟な対応力を持つ会議通訳者は、さらに活躍の場を広げていくことでしょう。
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