イベント&講演

2021.03.25

オンライン社員総会を開催!事例と成功させるポイントを解説


オンラインの社員総会を検討する時、どんな企画が喜んでもらえるのか悩んだり、リモート環境で社員が楽しめるのか不安に思ったりする人が多いのではないでしょうか。

ビジネスイベントを企画・運営しているJCS(日本コンベンションサービス)は、社員総会を毎年開催しています。2021年は新型コロナウイルスの流行を受け、社員が一堂に会してコミュニケーションできる場をなんとか実現できないか?と試行錯誤した結果、“オンラインイベントの企画力”を集結した「オンライン社員総会」を実施することにしました。

この記事では、参加者から高評価だった「企画」や、実行委員メンバーが注目した「運営」のコツについて解説します。

参加場所はどこでもOK!リモート環境で社員総会を実施

これまでは、ホテルや国際会議場などで開催していた社員総会。2021年1月は、会場を一切使用しない「オンライン社員総会」に初めて切り替えました。社内の会議室スペースに本格的な「配信スタジオ」を設営し、オンラインイベント用の映像機器やカメラ機材を手配してライブ映像を配信。参加者の社員は、自宅・外出先など、好きな場所からリモートで参加しました。

オンライン社員総会でも必須!目的とゴールを決める

社員総会は、社員に会社のイメージ(企業ブランド)を再認識してもらい、会社への愛着心を向上させるインナーブランディング施策の一つです。これまでの一般的な社員総会は、会場となるオフィス、ホテル、レストラン等に社員を集めるリアル開催が主流でしたが、コロナ禍の現在は、オンラインを活用した社員総会に注目が集まっています。

社員総会を開催する目的は多様ですが、大きく4つ挙げられます。

  • 会社の戦略やビジョンの共有
  • 社員のモチベーションアップ
  • 社員へのねぎらい
  • 会社全体の一体感の醸成

社員総会は、年に一回、または半期に一回の頻度で開催されることが多く、会社によってコンセプトや企画内容が変わります。よって、開催する根拠になる「目的」と「ゴール」を決めてから「具体的な企画」を練ることが、社員総会を計画する重要なプロセスになります。さらに、社員に対して「どうなって欲しいのか?」を明確に定義しておくことも大切です。社員総会の主役は、会社ではなく「社員」であることを意識するようにしましょう。

2021年のテーマは、役職や立場の「Reverse」

私たちJCSが策定した社員総会のコンセプトは、「Welcome to the Reverse [re:birth] world!」です。役員や部長、新卒社員など、いつもの立場を逆転して対話できる空間を「社員総会」という特別なイベントで実現しました。

この社員総会のテーマは、全社員を対象に実行したアンケート調査に基づいた「組織分析結果」を踏まえて決定しました。こういった定量データの考察からも、社員総会を企画するヒントを得ることができます。

Zoomを使ったオンライン社員総会の、5つの施策事例

JCSの社員総会の目的は、「社員全員が普段と違った視点で仕事を見つめ直し、新しいことにチャレンジする!」にしました。その目的を達成するために実行した施策のうち、5つを紹介します。

服装を指定、プログラムの詳細は当日のお楽しみ

ドレスコードは「カジュアル」な雰囲気にして、「スタートアップを意識した服装」を指定しました。社員は開催当日まで、日時と参加方法、服装の情報しか知らされません。プログラム情報はティザーのみ(詳細は秘密!)です。必要最低限の情報だけ告知することで、社員は「一体どんな事が起きるのだろう?」という想像を掻き立てることになります。つまり、この告知方法は、社員総会の期待感を醸成するのに効果的です。

オープニング動画で社員を引き込む

社員総会のオープニングで「アタックムービー」の動画を流し、社員の関心や注目を引きつけてイベントの開会式を盛り上げました。社員総会のテーマ「Reverse」を印象づけるコンセプトとキーワードを映像に挿入する演出は、社員の意識を「社員総会の目的」に向けさせ、イベントのゴール達成へと繋げる狙いがあります。

臨場感のある仮想スタジオ!会社のビジョンを共有

社員総会のために設営した配信スタジオでは、映像の一部を透明にして出演者を合成する「クロマキー」を使い、テレビ番組のようなクオリティを演出しました。ビジネスイベントを企画・運営する当社が得意とする領域です。司会者の背景に「社員の顔」を並べたバックスクリーンを映し出すことで、社員の参加意識は高まります。

社長講話は、演者とスライドを同時出力する「2画面レイアウト」でライブ映像を配信。社員全員にチャット機能(コメント入力)を許可すると、ライブ中に社員同士が意見を投稿したり対話を楽しむことが可能になります。リアルな会場だと発言に勇気がいる場合もありますが、オンライン環境だと「気軽に発言できる」メリットがあるので、講演の場でも社員同士の “インタラクティブなコミュニケーション”が見られました。

グループに分かれてゲーム大会!勝者には豪華賞品を

社員は、Web会議システム「Zoom」のブレイクアウトセッション機能によって、社員総会の実行委員メンバーが指定したグループに振り分けられます。ツールに不慣れな社員も、自動的にグループ部屋へ移動するので、簡単にゲームへ参加できます。

ゲーム内容は、スタートアップ社員になりきって「新しいビジネスを立ち上げる」です。研修プログラムではないので、お題は簡単かつシンプルにしました。社員全員が「誰をどういう状態にして、どのように幸せになってほしいか?」をテーマにグループディスカッションを行い、それぞれのグループが企画立案用の「WEBサイト構成イメージ」を作成。スタートアップを意識した服装の指定は、このグループワークに繋がる“予兆”の演出でした。

ゲームのルール説明をする司会者
ゲームのルール説明をする司会者
賞品を受け取ったゲームの勝者

グループ単位のメンバー構成にも拘りポイントがあります。社員一人ひとりに「明確な役割」を指定し、最も社歴の浅い社員には「CEO」を任命。若手社員が臆せずに意見しやすい環境を整えた結果、パッションの溢れる意見交換が各所で見られました。
ゲームのお題「新しいビジネス」に対して優秀な企画内容を立案したグループが「勝者」になります。この勝者を選ぶ「投資家」のポジションは、社歴0年目の「新卒採用の内定者」が担います。全てが「Reverse」したこの仮想世界では、これまでにない社員同士の接点と役割を通して、老若男女問わず親睦を深めることができました。

全社員に配る「事前配布グッズ」で、リモートの懇親会を盛り上げる

社員一人ひとりに配布したグッズには、ゲームで使う「新しいビジネスを立ち上げるための指示書」、若手社員のCEOが被る「王冠」の他、乾杯用の「スパークリングワイン」や「お揃いのコップ」を入れました。社員総会の司会者2人の指示に沿いながら、社員全員が同じタイミングで同じ行動をすることで、リモート環境でも参加者同士の一体感が高まります。これは、体験価値を共有するための仕掛けの一つです。

社員に配られる「事前配布グッズ」
社員に配られる「事前配布グッズ」
司会者の指示で開封する「指示書」

任意参加で楽しめる「オンライン二次会」では、オフィスの拠点や部門を超えた社員同士の交流や、偶然の出会いを促しました。社員総会のラストは、「配信スタジオ撤収シーン」のライブ映像を配信し、実行委員メンバーの様子・活躍を見守りながら、エンディングの余韻に浸れるようにしました。

社員総会のSDGsアクションは「誰一人取り残さない」

JCSはイベントにおけるSDGsへの取り組み(具体的なアクション)を重視しています。今回のオンライン社員総会で実施した施策の一部を紹介します。

手話通訳を使った「情報保障」

情報保障とは、障がいのある人に必要なサポートを行い、適切な情報を提供することを指します。聴覚障がいを持つJCS社員は、手話通訳を使ってグループゲームを含む全てのプログラムに参加しました。社員全員が参加できる環境を作ってコミュニケーションを支援することは、SDGsの核にある「誰一人取り残さないことを誓う」を体現するための重要な取り組みになります。

休職中の社員は、リモートだから参加できる

育児休業中の社員や事情があって出社できない社員など、会場に来れないメンバーもオンラインなら気軽に参加できます。今回の社員総会では、約8割の育児休業中の社員がリモート環境で参加しました。一人ひとりの状況に合わせて参加をアシストすることで、参加率の増加が見込めます。

この対応は、休業中の社員のフォローアップになります。「社員総会」を通じて在籍社員との交流の場を提供できると、会社との関わりが保てますので、育児休暇後の復帰がしやすい環境・風土に繋げることができます。

ヘルプデスクの設置、ツールに不慣れな社員をサポート

オンラインイベントは、参加者のリテラシーに依存するデメリットがあります。ツールの操作に不安のある社員が安心して参加できるよう、事前に「Web会議の接続テスト&操作説明会」を開催し、リハーサルを介してツールに触れられる機会を設けました。
また、社員総会の当日、予期せぬトラブルが発生した場合に対応できるよう、いつでも相談できる「ヘルプデスク」を設け、ここでも「誰一人取り残さない」サポート体制を完備しました。

満足度80%超!リモートで成功した秘訣とは

社員総会の後にアンケート調査を実施した結果、満足度82%を記録しました。「楽しかった」「有意義だった」といった声が大半を占め、前向きな感想が多く見られました。

  • 普段会えない先輩と話ができて予想以上に楽しかった。
  • 家庭の事情で現地参加できなかったので、オンライン開催は有意義!
  • 「Reverse(re:birth)」の設定と役割が面白く、演じるのが楽しかった。
  • みんなが積極的に発言していて自分の役割をこなしていたので、感動した。

インナーコミュニケーションで、社員の注目度を高める

社員総会の開催に向けたアナウンスだけでなく、期待感を醸成するためのインナーコミュニケーションは極めて重要です。社員がワクワクするようなアイキャッチ画像、動画、記事などのコンテンツを計画的に発信し、社員総会の「コンセプト」を浸透させましょう。イベントの趣旨を社員に理解してもらうことは、社員総会の成功に向けた第一歩です。

情報発信の手段は、社内SNS(チャットツール)やポータルサイトなどが代表的な例になります。JCSの場合、「ティザーサイト」の位置付けになる社員総会の特設サイトを制作しました。社員総会のテーマやメッセージだけでなく「概要情報」や「お知らせ」のコーナーを掲載し、情報との接触機会を促進しました。

本格的なマニュアルを準備!無駄の無い進行を

2021年のオンライン社員総会は、約15名の実行委員会メンバーが企画や運営に挑みました。メンバーは会社が推薦した人物ではなく、募集告知を通して集まった“熱量の高い人たち”です。「やってみたい事がある!」「面白いことが好き!」という気持ちを持ったメンバーが結束すると、社員総会の活気は一層高くなります。

しかし、不測の事態を想定した備えも大切です。委員会メンバーの誰かが体調不良になった場合を考慮し、柔軟かつ効率的な進行を行うための「運営マニュアル」を作成し、「当日の進行台本」をメンバー全員で共有しました。

  • 実際に作成した「運営マニュアル」と「当日の進行台本」 実際に作成した「運営マニュアル」と「当日の進行台本」

実行委員メンバーの本音と失敗談

オンライン社員総会を閉会した後、実行委員メンバーからは好意的な感想が多く挙がりました。成功を支えた苦労や失敗のエピソードも紹介します。

  • 普段接点の少ない社員と協業でき、困った時はこのメンバーに相談したい!と思える仲間に出会えた。

    自分の日常業務の範囲では気付けなかった、他部署の人の熱意・感性に触れることができ、大きな刺激を得られた。

    初めて接点を持った社員から、仕事に取り組む上での気づき・葛藤を聞くことができ、以前よりも会社(の人たち)を身近に感じられた。

開催時間の設定と時間配分の難しさ

企画プログラムと進行ディレクター担当者

オンライン開催なので長時間にわたる実施は避けたく、時間配分に悩みました。社員総会の目的を達成できる範囲で、開催時間をあえて「少し足りなかった」と思えるくらいに設定して良かったと思います。


第三者の意見と具体的な企画力の重要性

企画プログラムとZoom入室の管理担当者

企画設計を進めていく中、参加者の視点が見えなくなってしまい、実行委員メンバー以外の社員からヒントを貰った時があった。また、具体的な企画立案を得意とするメンバーが「では、こうしようか!」とフォローしてくれたので、とても救われた。


急遽現場で、代用品を使ってトラブルを乗り越えた

演出と講演プログラムの担当者

計時回線(登壇者に残り時間を知らせるためのもの)を準備せずに開催当日を迎えましたが、急遽リクエストが発生。機材のオペレーションに詳しいメンバーに助けてもらい、PCを代用して難を乗り越えられました。

オンライン社員総会は、イベントのプロ(PCO)にお任せ!

今回ご紹介したオンライン社員総会は、あくまで成功事例の一つです。社員総会は、会社によって、または開催時期によって目的や施策内容が変わります。コンセプトは「これが正解!」というものはなく、会社によって独自にローカライズする必要があります。
JCSは、貴社の個性を最大限に引き出せるイベントをプロデュースできます。これまでよりも記憶に残る、レガシーとして社歴にも残る、主役の社員からも支持される社員総会を検討されている方は、ぜひJCSまでご相談ください。

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