コラム

2026.08.14

仕事があるから、競技にも集中できる。パラ射撃選手・森脇敏夫、JCSで続ける挑戦


静寂のなか、片手で構えたピストルで狙うのは10メートル先の小さな標的……“究極のメンタルスポーツ”と呼ばれるパラ射撃選手として、世界大会に挑み続ける森脇敏夫。競技の舞台を離れれば、JCSの情報システム部の一員として社内業務を支えています。

情報システム部で働きながら、パラ射撃選手として国内外の大会に挑む森脇。射撃への関心の原点は、子どもの頃にありました。

「子どもの頃、映画やドラマの影響で銃やピストルに憧れる男の子は多いですよね。その頃の気持ちが原体験でもありますし、今も競技を続けるモチベーションのひとつになっています」

森脇に大きな転機が訪れたのは、20歳の頃でした。

「通勤中のバイク事故で、左腕と左上半身に麻痺が残りました。医師から『もう左腕は動かない』と言われ、30分くらいは落ち込んだかな。でも、悩んでいても仕方がないので、すぐに気持ちを切り替えました」

事故後も、自動車競技やエアガンの射撃競技など、さまざまなことに挑戦してきた森脇。ある大会への出場をきっかけに、グアムの射撃場で初めて実弾射撃を経験します。
「初めて実弾を撃ったときの衝撃は、エアガンとはまったく違いました。銃の重さや撃ったときの反動も含め、そのときの感覚は今でも忘れられません」

その後も実弾射撃を続けるなかで、パラリンピックにも射撃競技があることを知りました。中古のライフル銃を譲り受ける機会にも恵まれ、免許を取得。38歳でパラ射撃を始めました。
「いろいろな経験を重ねながら、パラ射撃にたどり着いたような感覚です」

2009年に競技を始めて以降、日本の障がい者ライフル射撃選手権で優勝するなど、ピストル種目でも国内トップクラスの成績を残してきました。15年以上にわたり向き合ってきたパラ射撃の魅力について、森脇はこう語ります。

「撃発した瞬間に結果が出ることが、この競技の醍醐味です。完全な個人競技で、自分の迷いや妥協がそのまま結果に表れる。少しでも迷いがあると、弾はとんでもない方向に飛んでいきます。その難しさに、やりがいを感じています」

射撃場で向き合うのは、標的であると同時に、自分自身です。そうして競技を通じて培った経験は、仕事にも生きていると森脇は話します。

仕事と競技、ふたつの居場所があるから挑戦を続けられる

システムエンジニアとしてキャリアを積みながら、パラ射撃にも挑み続ける森脇。競技と仕事は、それぞれが支え合う存在だといいます。

「自分にとって、仕事と競技は表裏一体です。競技に専念できる環境を勧められることもありますが、私の経歴を考えると、一つのことだけに打ち込むより、仕事と競技の両方があるほうが自分には合っていると感じています。競技だけでなく、仕事というもう一つの居場所があることで、射撃以外の世界とも関わることができます。私には、そのどちらも欠かせない存在なんです。」

仕事と競技の両立が森脇にもたらしているのは、居場所だけではありません。競技を通じて培った経験は、仕事にも生きているといいます。

「海外遠征の準備は個人で行う部分も多く、事前の段取りができていなければ現地にたどり着くこともできません。また、現地では予期せぬトラブルも起こります。そうした経験を重ねるなかで身についた段取り力や対応力は、仕事にも生きていると感じます」
一方で、仕事の存在が競技を支えている面もあるといいます。

JCSで見つけた、挑戦を続けられる環境

「遠い異国の地へ行っても、日本に帰ってくれば職場という戻る場所がある。その存在は、確実に精神的な安定につながっています。私が本当の意味で競技に集中できているのは、仕事のおかげだと思っています」

競技では“個”で挑み、撃った瞬間に結果が表れます。一方、JCSでの業務は、チームで連携しながら社内のITインフラを長期的に支える仕事です。森脇にとって、正反対の2つのフィールドを持つことも、仕事と競技の両立を支える要素になっているのかもしれません。

仕事と競技、どちらにも前向きに取り組む森脇がJCSに入社したのは、2025年8月。障がい者アスリート就労支援サービスを介して紹介を受けたことがきっかけでした。

「パラリンピックを目指すには海外遠征や大会参加が欠かせません。そのため、仕事との両立について事前にしっかり話し合える環境を重視していました。そのなかでJCSは、要望書や面接を通じて丁寧に認識をすり合わせてくれました」

パラリンピックを目指すとなると、合宿や試合、海外遠征などの予定も多くあります。入社後も、人事部をはじめ部署内でのコミュニケーションを密に取りながら、仕事と競技の両立に向けた調整を続けているそうです。

「JCSの社風なのか、“人と人との関わり”を大切にしている会社だと感じます。JCSでは、競技実績の共有だけでなく、仕事と競技を両立するための調整や相談もしやすいと感じています」

現在、情報システム部に所属している森脇。社内のIT基幹システムの運用・管理など幅広い業務に携わり、社員が安心して働ける環境づくりに尽力しています。

「前職までは、社内SEとしてさまざまな業務を経験してきました。現在の業務も覚えることが多く、大変な部分はありますが、やりがいも感じています。また、社内ではチャットアプリを使っているので、遠征や合宿の予定を書き込んでメンバーに共有しながら業務を進めています。私が仕事と競技を両立できるよう、サポート体制も整えていただきました。何より、わからないことを遠慮なく聞ける雰囲気があるので助かります」

普段の働き方についても、「自由度が高い」と森脇は話します。JCSでは在宅・テレワーク制度を導入しており、業務や自身の状況に応じた働き方が可能です。仕事と競技を続ける森脇にとって、こうした選択肢があることも働きやすさにつながっています。

「週に1~2日は出社しています。オフィスでメンバーと顔を合わせて働くことは気分転換にもなりますし、運動不足の解消にもなっています。一方で、自宅で黙々と作業するのも向いているので、その時々に合わせて、自分に合った働き方ができていると感じます。」

入社から1年が経ち、競技の話題をきっかけに社内での会話も少しずつ増えてきました。
「雑談のなかで『薬莢を見てみたい』と言われて、カリフォルニアから持ち帰ったものを見せたこともあります。そうした何気ない会話も含めて、居心地がよく、自然と周囲が気にかけてくれる会社だと感じています。今後も、一緒に働くみなさんと交流を深めていきたいですね」

競技と同様に、新しい環境も前向きに楽しんでいる森脇。見据えるのは、2028年のロサンゼルスパラリンピックです。

「年齢的にも、ロサンゼルスパラリンピックが最後の挑戦になると思います。今年の9月以降、出場枠に影響する世界大会が続々と開催されるので、そこで結果を残すのが現在の目標です。ただ、思いが先走るとコンディションにも影響してしまいます。仕事にも競技にもきちんと向き合いながら、自分なりのバランスを保って挑戦を続けていきたいです」

仕事と競技、そのどちらにも真剣に向き合う森脇。JCSは、一人ひとりの異なる背景や価値観、働き方を尊重し、それぞれが自分らしく力を発揮できる会社を目指しています。これからも社員との対話を大切にしながら、それぞれの挑戦を支える環境づくりを進めていきます。

社員プロフィール

森脇 敏夫

2025年8月入社。情報システム部勤務。システムエンジニアとして長年キャリアを積む一方、パラ射撃選手として国内外の大会に出場している。

 

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