コラム
2024.11.04
同時通訳機材の違いについて -赤外線システム・パナガイド-
同時通訳とは、「聞く」と「訳す」をほぼ同時に行う通訳手法です。話者の発言を中断させることがないため、国際会議などの大規模な会議やビジネスミーティングなどでよく用いられます。本稿では同時通訳を行う際に必要な機材のうち、最も多く使われている「赤外線システム」と簡易的に使うことができる「パナガイド」という機材について、それぞれの特徴やメリット、デメリットを比較し、どのような状況で最適に活用できるか解説します。
また、完全オンサイト形式、完全オンライン形式、ハイブリッド形式など、会議の形式に応じた機材選定のポイントや、通訳精度や機密性を保つために欠かせない機材の選び方についてもご紹介します。
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同時通訳機材を使用し同時通訳を行う方法
同時通訳機材を使用し同時通訳を行う方法には、「赤外線システム」、簡易装置と呼ばれる「パナガイド」、「遠隔同時通訳(RSI)」、「ラジオ方式」などがあります。本稿ではその中でも代表的な「赤外線システム」と「パナガイド」についてご紹介いたします。
赤外線システム
赤外線システムは、通訳者の訳出音声を赤外線信号として送信し、受信機である同時通訳レシーバーを通じて聞き手に届ける仕組みです。
メリット
赤外線システムのメリットは、赤外線が室内の壁を通さず室外へ漏洩しないため機密性が保てる点、電波や照明などの干渉を受けにくい点、ノイズに強くクリアなデジタル音質で伝達できる点です。また、複数の言語チャンネルを設定し使用できるため、3つ以上の言語の通訳が必要な会議でも採用されています。
デメリット
機材を設置するスペースを確保しなければならない点、設営、撤去の時間確保が必要な点、コストが掛かる点等が挙げられます。
必要となる機材
主な赤外線システムの必要機材と構成図は下記の通りです。
■赤外線送信機:通信音声をデジタル信号に変換する機材
■ラジエーター(赤外線反射板):送信機から送出した赤外線を反射させるスタンド型の反射板
■レシーバー:イヤホンを通して、選んだチャンネルから通訳音声を聞くための受信機
■通訳ユニット:通訳者がヘッドホンで会場の音声を聞きながら、指定された言語で通訳音声を提供するための機材
■ミキサー:音量・音質などを調整する機材
■通訳ブース:通訳者が通訳を行うための仮設の箱型防音ブース。防⾳性能が⾼く、外部の⾳を遮断するため、通訳者は外部の雑⾳に邪魔されることなく通訳に専念できる
■エンジニア:機材の設営撤去、会議中に同時通訳システムを操作する担当
■マイク:発言者が使用する音響マイク
■会場スピーカー:会場の備え付けスピーカー
注意点
会場で使用されるマイクが赤外線タイプの場合、そのマイクと同時通訳機材の赤外線同士が干渉してしまいます。このような場合は、後述のパナガイドをご使用いただくか、赤外線タイプでないワイヤレスマイク(A帯やB帯などの電波方式)のご利用をおすすめします。
パナガイド
パナガイドは、パナソニック社製の携帯型無線ガイドシステムです。マイク付きの無線送信機から、イヤホン付き無線受信機へ一斉に音声を届けることができます。主に美術館や機械の騒音が発生する工場見学などのツアーガイドで使用されますが、同時通訳の現場でも使われています。
メリット
ミキサーやエンジニアの準備が不要な点(パナガイド送信機と受信機のみで完結できる)、小型(スマートフォン程度の大きさ)で持ち運びやすいので移動しながら通訳できる点、赤外線と比較してコストを抑えられる点等がメリットとして挙げられます。
デメリット
パナガイドはアナログ電波のため周りの電波状況の影響を受けやすくノイズが入ることがあり、赤外線システムの音声に比べると音質が劣る場合があります。また、利用できるチャンネル数に限りがあるため、多言語での同時通訳が求められる場面では十分に対応できないことがあります。
注意点
パナガイドは誰でも使用できる電波を使用するため、近隣(同じビルの上下フロアや隣接する建物など)で類似した周波数を使用していると、混信や機密漏洩のリスクが生じます。また、複数言語の通訳で3チャンネル以上を使用する場合は、混信のリスクが高まります。
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会議形式に応じた同時通訳機材の選び方
本項では、会議の実施形式に合わせた同時通訳機材の選び方についてご説明します。
完全オンサイト形式
参加者全員が会議室など現地に集まる完全オンサイト形式の会議では、赤外線システムまたは、パナガイドを用いて実施します。どちらを使うかは品質やコスト等の希望条件に合わせて選択することができます。
簡易運用でコストを抑えたい場合
機材の搬入を避けて簡易的に通訳を実施したい場合や、コストを抑えたい場合には、「パナガイド」の使用が適しています。しかし前述の通り、電波の混信や他の機器との電波送信・受信による情報漏洩などのリスクは伴うので注意が必要です。
品質を優先したい場合
音声品質や機密性、同時通訳の品質を重視する場合には、「赤外線システム」と「通訳ブース」の使用を推奨します。この場合、機材や通訳ブース、エンジニアなどの費用や、設営撤去作業の時間を確保する必要があります。
完全オンライン会議形式
全員がオンラインで会議に参加する場合は、前述した赤外線システム、パナガイドの機材は使用できないため、主にZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議システムを使用して通訳を実施します。
注意点
同時通訳は、最低2名以上の複数名の通訳者で対応します。Web会議システムを使用する場合、通訳者同士のコミュニケーションもリモートで行われるため、オンサイトと比べお互いの連携がとりにくくなり、通訳パフォーマンスが損なわれてしまう恐れがあります。そのため通訳者同士がコミュニケーションを取れるよう別途プラットフォームを用意したり、通訳スタジオを利用したりすることをおすすめします。
ハイブリッド形式
会場に集まる参加者と、オンラインで参加する参加者が混在するハイブリッド形式の会議では、前述した赤外線システムとWeb会議システムに対応した機材を組み合わせて同時通訳を実施します。会場参加者には赤外線システムの同時通訳レシーバーを通して、リモートの参加者にはWeb会議システムに対応した機材を介して通訳音声が届けられます。
まとめ
本稿では、同時通訳の機材についてご説明しましたが、通訳や同時通訳機材の使用を検討される際には、ぜひ日本コンベンションサービスへお問い合わせください。お客様のご希望や会議シーンに合わせて、当社の通訳コーディネーターが適切な機材と通訳者の手配をワンストップでご提案します。
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