コラム

2016.11.08

国際資格CMPのコラム第20弾「DEVELOP PLAN FOR MANAGING MOVEMENT OF ATTENDEES」


当社社員がお送りする、ミーティングプランナーの国際資格(CMP)をテーマにした「MICE Japan」の連載第20弾です。ミーティング・プランナーは参加登録や交通・宿泊など、あらゆる場面で参加者の行動を予測して管理する必要があります。いくつかの場面と要素に分けて、その行動管理について解説します。

CMP(Certified Meeting Professional)は、約2万団体・10万名が属する世界最大のMICE産業団体Convention Industry Councilが認証する、ミーティングプランナーの国際資格です。

SKILL 18: MANAGE TECHNICAL PRODUCTION
Sub skill 19.01 – Develop Admittance Credential Systems
Sub skill 19.02 – Select Crowd Management Techniques
Sub skill 19.03 – Coordinate Accommodations
Sub skill 19.04 – Coordinate Transportation
Sub skill 19.05 – Manage Protocol Requirements

CMP出題頻度:3~ 5問(合計150問)


ミーティング・プランナーは参加登録や交通・宿泊など、あらゆる場面で参加者の行動を予測して管理する必要があります。今回はいくつかの場面と要素に分けて、その行動管理について解説します。

参加登録・入場管理

Sub skill 19.01 – Develop Admittance Credential Systems

イベントには厳格な入場制限を設けているものから一般向けに開放されたものまでさまざまなものがあります。また、事前登録が必要なもの、当日登録でも参加できるものもあります。事前登録が必要なイベントの種類としては、あらかじめ対象者が決まっているイベントや、一般向けイベントであれば料金支払いが必要なイベント、さらに競技大会や投票を伴うイベントなどがあります。
事前登録を行った参加者が会場に到着すると、登録者本人であることの認証を行います。イベントの性質によって参加登録確認書を見せるだけのものから、写真入りIDの提示を求めるものまで、その厳格さはさまざまです。
登録者であることが認証されると、入場証やネームバッジ、リストバンドなどが渡されます。バーコードやRFIDを用いて商談会のリード(商談引き合い)や教育セッションの出席単位を管理するCEU情報を管理することも一般的になりました。ネットワーキングを促進したい場合は個人の名前入りネームカード、そうでないばあいはリストバンドを使用して、いずれも属性によって色分けすると判別が容易になります。
多数のVIPが来場するなど、イベントのセキュリティが高まるほど複雑なID計画が必要になります。より詳細な身分確認や、細かい属性区分とアクセス権の設定が必要になるからです。たとえばオリンピック北京大会では、期間中、関係者は勤務時間外であっても常に写真入りIDを携帯することを求められたのだそうです。
ID計画には下記のような内容が含まれており、警備チーム、参加登録チーム、会場関係者と共有することが求められます。

  • 参加区分
  • 参加者レベル
  • 参加登録方法・支払方法
  • 認証方法
  • 特別なサポートの要否(言語サービス、車椅子、視覚
  • 聴覚補助など)
  • 特別登録対応

Sub skill 19.02 – Select Crowd Management Techniques

大規模イベントを開催する場合は誘導計画、つまり群衆管理計画を立てる必要があります。具体的には、まず群衆管理のためのチームを編成して、ポジションごとにモニタリング担当者を配置して、危険な状況に陥りそうなときにどのような対策を行うかということを決めておきます。
このために重要なのは指示命令系統を明確にしておくことです。それぞれの担当者が指示命令系統における自分の位置づけと報告先を理解できるようにします。また、群衆管理計画は開催地域の法令に準拠する必要があります。地域によっては法令でイベントの入退場、収容人数、消防法などのルールが定められているからです。イベントの性質によっては、警察、警備会社、施設担当者などの関与が必要になる場合もあります。
群衆管理には列管理がつきものです。行列を管理するにもいくつかのテクニックがあり、たとえばアミューズメントパークでは、待ち時間中にもエンタテインメントを提供していることに気付かれた方も多いでしょう。説明書きを読んだり、音楽を聴いたり、エンタテインメントを楽しむことで、群衆管理のトラブルを削減することができます。
群集心理は危険な状況を導きやすいことにも注意が必要です。一部の人が勝手な行動をとり始めると、しだいに群衆全体が同じような行動を取りはじめるというような状況です。
群衆管理計画に必要な情報には以下のようなものがあります。

  • フロアプラン
  • 入退場計画
  • 所持品チェック(金属探知機など)
  • パーテーション
  • 誘導看板
  • 集団行動心理

宿泊管理

Sub skill 19.03 – Coordinate Accommodations

北米におけるイベント参加者の宿泊施設は、おおまかに下記のように区分されます。

(1)5つ星ホテル、リゾート

企業や商品を印象付けるためのイベントでは使用されますが、学協会のミーティングでは、よほど大規模なイベントでなければあまり使用されません。

(2)宿泊施設の付随した会議施設

小規模のミーティングを開催するのに適しています。InternationalAssociation of Conference Centersの認証を受けている場合が多いです。

(3)会議機能を持つ大規模ホテル

当初からミーティング開催を視野に入れて設計されたホテルで、多くの場合は4つ星ホテルに位置づけられています。宴会場面積と客室数のバランスがよく、客室のしつらえは旅慣れたビジネス客をターゲットにしています。宿泊レートは需給バランスによって大幅に変動します。

(4)3つ星ホテル

企業の小規模ミーティングに向いています。料飲などサービス料金は大規模ホテルに比べて安価です。

(5)2つ星ホテル

大きな国際会議だと、途上国からの参加者への配慮としてこうした安価な宿泊施設も用意されます。

(6)豪華クルーズライン

最高級リゾートホテルを意識して設計されており、企業インセンティブに使用されます。豊富な娯楽施設を備えています。

(7)一般クルーズライン

よりファミリー向けの雰囲気を持ち、ミーティング施設も多く、ビジネスイベント全般に使用されます。

(8)大学施設

安価に学会を開催する方法として休暇中の大学施設を利用することは以前から行われていましたが、通年で使用できる大学構内のコンベンション施設も増えました。

(9)コンベンションセンター周辺のホテル

大規模学協会ミーティングは各地のコンベンションセンターで開催されることが多く、その周辺に位置する3つ星~ 5つ星のことを指します。プランナーはこれらのホテルをブロック予約して参加者に提供します。

交通手配

Sub skill 19.04 – Coordinate Transportation

イベント開催地の交通は参加者の行動管理における重要な要素ですが、かなり開催地の事情に依存するケースが多く、その地域のPCOやDMC(日本だと旅行代理店)に依頼するのが得策です。文字数の都合上、詳細はここでは省きます。

プロトコル

Sub skill 19.05 – Manage Protocol Requirements

プロトコルやエチケットなどといったルールには、国際的なルールが内包されています。イベントで適用されるプロトコルには、席次や序列(order of precedence)、敬称、旗の取り扱いに関するルールがあり、日本なら外務省の儀典課に相談するのがよいでしょう。
宗教や文化、地域のしきたりなども、ミーティングの日程や料飲内容などに影響を与えます。プランナーがミーティングを企画する際には、プロトコルやこうした背景を理解することは欠かすことができません。

 
  • 押さえておきましょう! CMP用語集(terminology)

    Hybrid event ---------- 入場管理システム

    Continuing education unit (CEU) ---------- 継続教育ユニット

    Crowd mentality ---------- 群集心理

    Egress ---------- 退場

    Ingress ---------- 入場

    Order of precedence ---------- 序列、席次

    Radio frequency identification (RFID) ---------- RFID

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