| サイバーディスカッション
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No.1: 安原 洋 (帝京大学市原病院外科)
Subject: サイバーディスカッション開始のお知らせ |
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第100回日本外科学会総会サージカルフォーラム4「血管内皮細胞を標的とした抗炎症療法」発表者の皆様
桜の花も満開まぢかとなり,すっかり春らしい季節となりました.さて,この度学会本部よりの要請で第100回日本外科学会総会のサージカルフォーラム4ではメーリングリストを使用したサイバーディスカッションを行うことになりました.学会当日はなにぶんにも時間的な制限があり,特に本セッションのテーマである研究領域の発表では,その内容について踏み込んだ発表や討論ができにくいのが現状です.サイバーディスカッションはこの点を補い,学会当日の踏み込んだ討論のため企画されました.サイバーディスカッションの詳細は以下にお示しいたしましたが,皆様の積極的な参加,発言をよろしくお願い申し上げます.サイバーディスカッションが実り多いものであり,学会当日に皆様とお会いすることを心より楽しみにしております.
サイバーディスカッションの詳細メーリングリスト開設の趣旨:
血管内皮細胞は,かつては血管内面を覆う単なる膜と考えられており,微小循環もその物理的な側面が注目されてきました.しかしながら,最近の細胞生物学や分子生物学の発達により,内皮細胞は,高度に分化し,免疫機能の最前線で働く特殊な細胞であることが明らかになりつつあります.また,生体侵襲に対しても,内皮細胞は炎症類似の生体反応や臓器障害を引き起こす重要な役割を担っています.このような知見の蓄積とともに,生体侵襲に対する治療面でも,これまでの臓器中心の治療に対して新たな観点からの見直しが必要になってきました.このサイバーディスカッションがこのような病態把握に対する横断的知識を深め,炎症反応,臓器不全に対する新たな治療法確立のきっかけになることを期待しております.
サイバーディスカッションの進め方:
発表内容が多岐に及んでいるために次のような手順でディスカッションを進めていこうと思います.
1. 各演者の簡単な自己紹介
2. 血管内皮細胞を標的としてそれぞれの研究を行うことになった背景
3. 臓器微小循環障害における白血球(好中球)−血管内皮細胞相互関連作用による病態進展のメカニズムについてどのように考えているか.
4. 内皮細胞障害の臓器特異性についてはどのように考えているか.
5. 現時点での臨床応用はどこまで可能か.
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No.2: 鈴木昌八(浜松医科大学第二外科)
Subject: 射場、林の両先生いかがでしょうか |
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まずは、射場、林の両先生いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
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No.3: 射場敏明(順天堂大学附属浦安病院外科)
Subject: 自己紹介と各意見
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僭越ではありますが、私から自己紹介させていただきます。
1. 簡単な自己紹介
1984年順天堂大学卒業、現在順天堂大学浦安病院外科勤務専門-消化器外科、救急医学、敗血症、DIC。
2. 血管内皮細胞を標的としてそれぞれの研究を行うことになった背景
敗血症における血液凝固異常の研究を行ううちに、血管内皮機能の重要性に着目するようになりました。
3. 臓器微小循環障害における白血球(好中球)−血管内皮細胞相互関連作用による病態進展のメカニズムについてどのように考えているか.
微小循環系を生体顕微鏡下に観察すると、敗血症において最も早期(1 hr以内)にみられる変化は白血球の血管内皮への接着でした。これに続いて血小板の粘着や微小血栓形成などの変化が出現します。白血球−血管内皮相互作用は時相的には早期に現れ、機序的にも極めて重要と考えております。
4. 内皮細胞障害の臓器特異性についてはどのように考えているか.
特に肝、肺、においてはその特殊性を考慮して研究するべきかと考えております。しかしながら、われわれの行っている生体顕微鏡は実質臓器の観察には不向きなので、以前肝類洞の観察を行ったことはありますが、現在はもっぱら腸間膜で観察をしております。5. 現時点での臨床応用はどこまで可能か. アンチトロンビン以外にもトロンボモジュリンやプロテインC、さらに活性化第X 因子阻害薬など凝固に関連する薬剤の多くは血管内皮機能調節作用を有しており、臨床への応用も可能かと考えております。
以上
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No.4: 鈴木昌八(浜松医科大学第二外科)
Subject: 自己紹介と発言 |
司会者も経験のないサイバーディスカッションを開始することができました。ところで、演者の先生方ばかりに自己紹介させるわけにも行かないので、私も簡単に自己紹介をさせていただきます。
1981年浜松医科大学卒業、現在浜松医科大学第二外科勤務専門領域:消化器外科(肝胆膵外科)、研究(興味)領域:肝虚血・再灌流障害
さて、射場先生の考えておられる白血球(好中球)-血管内皮細胞相互関連作用による病態進展のメカニズムについてはわかりました。射場先生の抄録に記載されている結果を含めて考えると、この敗血症性微小循環障害に対する活性化凝固第X因子阻害剤の効果はサイトカインなどのメディエータには影響せずに白血球の接着抑制効果を生じるのですか。活性化凝固第X因子阻害剤が敗血症モデルでの微小循環障害に対し、どのように作用し、効果を表すのか説明していただけますか。
3. 臓器微小循環障害における白血球(好中球)−血管内皮細胞相互関連作用による病態進展のメカニズムについてどのように考えているか?
微小循環系を生体顕微鏡下に観察すると、敗血症において最も早期(1 hr以内)にみられる変化は白血球の血管内皮への接着でした。これに続いて血小板の粘着や微小血栓形成などの変化が出現します。白血球−血管内皮相互作用は時相的には早期に現れ、機序的にも極めて重要と考えております。
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No.5: 安原 洋 (帝京大学市原病院外科)
Subject: 自己紹介、血小板粘着に対しては何か定量的な観察はできたのでしょうか |
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このディスカッションに途中から参加する形となり,突然の発言となってしまいますが,お許しください.私も簡単に自己紹介をし,発言したいと思います.
1980年東京大学医学部卒業,現在帝京大学市原病院外科勤務専門領域:消化器外科,血管外科,研究(興味):末梢循環,微小循環,血管内皮細胞,平滑筋細胞,再灌流障害
このフォーラムでは,血管内皮を扱う以上,凝固線溶系の関与は避けることのできない部分であると考えていますが,私も司会者の鈴木先生同様に活性化第X因子阻害剤が微小循環に対し効果を発言するメカニズムに興味があります.先生の使用された DX-9065aの活性化第X因子阻害の機序について簡単に教えていただけないでしょうか?また,抄録では,「3時間後では強固にadherentする白血球やその周囲に粘着する血小板が観察された」と述べていらっしゃいますが,この血小板粘着に対しては何か定量的な観察はできたのでしょうか?また,活性化第X因子活性はプロテインCの働きとも関係していますが,吉川先生はこの点について何かご意見はないのでしょうか?
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No.6: 吉川 明(京都大学腫瘍外科)
Subject: 自己紹介、活性化第X因子活性はプロテインCの働きの関係 |
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京都大学の吉川 明ですどうぞよろしくお願いいたします。まずは、簡単な自己紹介とサイバーディスカッションの質問に対する返答を書かせていただきます。
1.簡単な自己紹介
1990年関西医科大学卒業、1997年より京都大学腫瘍外科研究生、専門:消化器外科 研究 HGF 再灌流障害 癌転移
2.血管内皮細胞を標的として研究を行うことになった背景
肝切除後HGF(hepatocyte growth factor )投与による術後肝不全の抑制をテーマに研究をスタートし、肝切除後肝不全阻止には類洞内皮細胞保護および類洞内微小循環障害抑制が肝要という観点から類洞内皮上の主要な抗凝固因子であるトロンボモジュリンとトロンボモジュリンにより活性化される活性化プロテインCに着目し現在に至っています。
3.臓器微小循環障害における白血球(好中球)?血管内皮細胞相互関連作用による病態進展のメカニズムについてどのように考えているか
今回私の行った実験(硬変肝肝切除後肝不全モデル)では白血球と内皮細胞の相互関連作用の点から考えますと活性化プロテインCを投与することにより類洞内皮や腎糸球体などにおいて術後ICAMの発現を抑制することが可能でありこの現象が臓器障害軽減の一因となっていると考えております。
4.内皮細胞障害の臓器特異性について個々の臓器特殊性における内皮細胞障害の機序にも差異があると考えられ、その臓器、その障害にあった対応策が必要かと考えますが、今回行った実験においては肺への炎症細胞浸潤の抑制、肝類洞、腎糸球体へのフィブリン沈着、ICAM発現の抑制が活性化プロテインCにて可能であったことから内皮細胞障害には臓器特異性も存在する反面共通する因子も存在するのではないかと考えます。
5.現時点での臨床応用の可能性について 我々が使用した活性化プロテインCは、先天性プロテインC欠乏症やDICにおいては臨床治験も終了しており近々市販される予定と聞いております。臨床への応用は容易と考えられます。「活性化第X因子活性はプロテインCの働きとも関係していますが」との質問ですが侵襲時にプロテインcを投与することによりトロンビン産生とサイトカイン産生の両方を抑制することが可能であり、加えて生理的であるという点で臨床応用などの面で有利かと考えます。
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No.7: 射場敏明(順天堂大学附属浦安病院外科)
Subject: Re: 自己紹介と活性化第X因子活性はプロテインCの働きの関係 |
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安原先生早速ご質問ありがとうございます。
Q. DX-9065aの活性化第X因子阻害の機序について簡単に教えていただけないでしょうか?また,抄録では,「3時間後では強固にadherentする白血球やその周囲に粘着する血小板が観察された」と述べていらっしゃいますが,この血小板粘着に対しては何か定量的な観察はできたのでしょうか?A. DX-9065aは化学合成された低分子量物質で選択的かつアンチトロンビン非依存性にXaに結合して活性を阻害します。血小板は1 micro m程度のサイズで、光学顕微鏡の観察限界です。したがって画像的な定量化は困難であるため、血中血小板数の減少を指標といたしました。
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No.8: 安原 洋 (帝京大学市原病院外科)
Subject: プロテインCを含め凝固線溶系,血小板と内皮細胞の相互関連作用 |
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射場先生、吉川先生早速の発言ありがとうございます.
私自身もプロテインCを含め凝固線溶系,血小板と内皮細胞の相互関連作用にも関心があるため,お二人の先生の研究には大変興味を持ちました.特に吉川先生の指摘されるように肝硬変患者のプロテインC補充に関しては臨床応用が楽しみなところです.ところで,本日からはいよいよ外科学会が東京で開始されます.メンバー全員がモバイルなど電子メールに即座に対応可能かどうか不明です.このサイバーディスカッションはこのまま続けますが十分に対応できない場合は,会場にてのディスカッションにそのまま引き継いでゆこうと思います.当日学会会場でお会いすることを楽しみにしています.
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No.9: 射場敏明(順天堂大学附属浦安病院外科)
Subject: Xa制御による微小循環の改善には2つのメカニズム |
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鈴木先生ご質問ありがとうございます。
Q.「敗血症性微小循環障害に対する活性化凝固第X因子阻害剤の効果はサイトカインなどのメディエータには影響せずに白血球の接着抑制効果を生じるのですか」
A. Xa制御による微小循環の改善には2つのメカニズムを考えております。第一はトロンビン生成阻害による血管内皮および血小板活性化の抑制、第二は血管内皮あるいは白血球上のXa受容体を介するレスポンスの制御です。現在Xa受容体としては白血球上で細胞接着に関与するMac-1他数種類が報告されています。
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